マヒロ

死霊のはらわた ライジングのマヒロのレビュー・感想・評価

3.5
(2024.18)
3人の子供を育てるタトゥーアーティストのエリーの元に、最近疎遠だった妹のベスが突然訪ねてくるが、久しぶりの再会もそこそこに突然大きな地震が発生し、アパートの地下に大きな裂け目が現る。子供の一人であるダニーはその中にあった部屋から不気味な本とレコードを持ち帰り、興味本位で本を開きレコードをかけたところ不気味な呪文が流れ始め、悪霊が蘇り家族を襲い始める……というお話。

『死霊のはらわた』のリブート作品で、サム・ライミの三部作や2013年のリメイク版とは特に話の繋がりはなく、閉鎖空間で人間に取り憑く悪霊と戦ったり、やり過ぎなくらいの残虐描写などそれっぽい要素を引き継いだ完全新作。最近のホラーリブートって過去作のキャラクターやらなんやらに頼ったものが多いので、新しいものだけで勝負している今作はそれだけで好印象。舞台となる古びたアパートは、これまでの山小屋と違った都会で孤立させられるという独特の怖さがあり、これもまたシリーズに新しい風を吹き込んでいてよかった。

実はベスは予期せぬ妊娠に悩んでおり、そこに折り合いを付けるまでの過激すぎる通過儀礼の話とも言えて、ここはいかにも現代的。子供であろうと容赦なく死霊の餌食になる厳しさなどは、彼女にこれから待ち受ける苦労なども暗示していた……のかも。
ただ、こういう生真面目なテーマが「はらわた」フォーマットと噛み合っていたかと言われるとちょっと疑問に思うところで、もっとハジけられそうなところで今一歩踏み込み足りないような感じがしてしまった。オリジナルの絶妙なバカバカしさとか、リメイク版の画面を塗りつぶすような極端なスプラッタ描写を観た後だと、良くも悪くもその二つの間を取ったような印象が強く、バランス感覚が良いとも飛び抜けた良さが無いとも言える。
とは言え、ホラーに限らず腑抜けたリブートが多い中でなかなか見どころのある佳作であることは間違いないし、なかなか楽しめた。
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