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ベネデッタのOMCのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.3
6歳で修道院に入ったベネデッタが数々の奇跡を起こす話。
原作は、当時の裁判の記録をもとにしたもの。
彼女はキリストの幻視を見たり、聖痕を受けたりして、キリストの花嫁であることを宣言する。シスターはあまりのタイミングの良さにその真偽を疑う。
法事や初詣の時くらいしか宗教と関わらない私から見ると、そもそも聖人の数々の奇跡って作り話にしか思えない。(宗教関係者の方ごめんなさい)
そういう、自分が見たわけじゃないけど長く語り継がれているエピソードは信じているけど、目の前でそれが起こったら信じないっていうのは、そもそも信仰心なんてないんじゃないのって思ってしまう。
ベネデッタは想像力が逞しくて、信仰心が強すぎるあまり、現実と妄想の区別がつかなくなっていたのかもしれない。だからきっと彼女の脳内では全て真実で、周りがそれを信じないのが不思議だったのかもしれない。
もしくは、非常に狡猾で人心を操ることに長けていて、罪悪感なく、無意識のうちに周りを騙すサイコパス気質だったのかも。
いずれにせよ、宗教ってそういうものじゃないのかって思う。迷える人を正しい方向に導くことや、心に傷を負った人を癒すことが目的で、そのためには人々の心を掴むことが必要。だから聖人の奇跡的なエピソードを若干話を盛りながら話すのでしょう。
この映画では、宗教人たちの人間臭い面や汚い面を赤裸々に描いている。そしてフランス映画らしく、脱ぎっぷりがすごいし、性描写もあからさま。ロシアで上映禁止になったとか、アメリカでカトリック団体が抗議デモをしたというのは頷ける。
でも映画としてはすごく良くできているし、主演の女優さんの堂々とした演技は素晴らしかった。最後の方は本当にキリストが憑依しているとしか思えませんでした。
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