映画大好きそーやさん

劇場版 呪術廻戦 0の映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
3.8
愛を廻る、歪んだ原点の物語。
そういえば書いてなかったなと思い立ったため、再鑑賞して書いてみることにしました。
劇場での鑑賞時と同様、やはり物語部分での感動は薄いものの、バトルシーンの作画の凄まじさ、格好良さには痺れる作品という所感に落ち着くこととなりました。
全4回に渡ってジャンプGIGAにて連載された1巻完結の作品かつ、作者である芥見下々の連載経験の乏しい頃の作品ということもあって、尺の問題やストーリーテリングの粗さ、薄っぺらさはどうしても拭えない部分ではあったと思います。
確かに、1本の映画としてはまとまりがありますが、細部を見ていくと映画のためにファンサービス的なシーンを挿れ尺稼ぎをしつつ、劇伴やアニメーションの力でゴリ押して、粗が目立たないよう魂を削った、アニメーターを始めとした制作陣の試行錯誤の後がよく見えました。
ファン映画の側面も強いため、ファンサービス描写を挿れること自体間違いはありません。
とはいえ、それらは作品の本軸の味付けになっていない部分もかなりあったため、純粋にテンポ感を悪くしている要因になっていたのは頂けませんでした。
また、ファン映画という意味では、後半の1つの主軸と言ってもいい夏油傑と五条悟のウェットなドラマの真髄は本作単体では分かりづらく、映画後にアニメ化する内容の先取りだったとはいえ、もう少し踏み込まなければ伝わりづらかったかなとも思いました。
あと、本軸として展開される、愛という呪いへの追求についても形式的なもののように見え、言葉だけが先行してドラマが付いてきていない印象でした。
ただ前述した通り、作画のクオリティは流石MAPPAと言わんばかりの素晴らしい内容で、特にラストバトルにあたる乙骨憂太と夏油傑のマッチアップは、劇伴との親和性も高く、また黒閃を白黒の画面を交えることで演出する等、聴覚的、視覚的にもテンションの上がるバトルシークエンスだったと思います。
総じて、ファン映画の側面が強いながらも、アニメーションのクオリティでぶん殴ってくる作品でした!