yusukepacino

ふるさとのyusukepacinoのレビュー・感想・評価

ふるさと(1983年製作の映画)
3.9
いつまでも残って欲しい作品。
珍しい名脇役加藤嘉の主演作。
岐阜県の徳山村を舞台に徳山ダム建設に揺れる田舎の村人達を描く。
冒頭の村の紹介が市原悦子のナレーションのためか『日本昔話』を想起させながらのスタートとなる。
認知症を患った老人が息子に疎まれながらもその生活を通して村との繋がりを感じさせる。そんな老人が少年とのアマゴ釣りで息を吹き返して生き生きしているところが良い。
枯れに枯れた加藤嘉。しかしこの人は年を重ねる毎に魅力が増す。アップになった時の深く刻まれた顔の皺に年輪のようなものを見る。あまりに自然な演技でラストなんかは本当に死んだんじゃないかと思わせられてヒヤヒヤする。
映画公開から数年後に村は閉村となり、さらに時を経て徳山ダムの建設が始まり、本作にある澄んだ自然溢れる徳山村は水没したそうな。
それだけに少女が皆んなと離れる前に学校でお別れの挨拶をするシーンや『故郷』の合唱シーンは涙を誘う。
ここまでの映画が撮れたのは神山征二郎監督が岐阜県岐阜市出身だからというのもあるのだろうか。
yusukepacino

yusukepacino