今日の試写会は、劇場版『鬼平犯科帳 血闘』。
おもしろかった〜! 時代劇はこうでなくっちゃね。これぞ「ザ・ジャパニーズ・エンターテイメント」だ!
本作はかつて中村吉右衛門の人気長寿番組だった『鬼平犯科帳』を、新たに松本幸四郎主演で復活させた新シリーズの劇場版だ。
序章とも言うべき『本所・桜屋敷』が素晴らしい出来だったので、本作にも期待のハードルを上げて鑑賞したが、期待通りの作品だった。
本シリーズでおもしろいのは、現在の鬼平・長谷川平蔵を松本幸四郎が、その若かりし頃の鬼銕を市川染五郎が演じ、過去のエピソードと現在の事件とが交互に描かれ、絡み合い、一つに収斂されていく構成だ。
本作でも鬼平に猛烈な恨みを持つ網切の甚五郎(北村有起哉)が登場。残虐な悪事の裏にある鬼平との深い因縁が2つの時代を繋ぐ。
本作で注目すべきは、まず志田未来。いつのまにか、こんな役ができる女優さんになってたのね。子役時代からの成長が著しい。
また、本作の主役は「おまさ」ではないか(?)と思わせるほどの中村ゆりの熱演! 私『パッチギ』の頃から中村ゆりの大ファンなんだけど、いつも幸薄い役で「もっとメインを張る役で出てほしいなぁ」と思っていたから、ちょーうれしい!
おまさを救うために単身盗賊の根城に乗り込んだ鬼平の大立ち回りは、さながら武蔵の「一条寺下り松の決闘」か、はたまた日本の『ジョン・ウィック』か、と思えるほどの壮絶な闘い! この立ち回りは幸四郎、大変だったろうなぁ。
そしてラストの『血闘』! 幸四郎はもちろんだが、この時の北村有起哉の最期のシーンが素晴らしい! この目の迫力にはあっぱれだ。
昨今の映画業界では、時代劇と言うと、歴史物のシリアスなやつか、とんでもないコメディしか作られなくなってしまったが、元々時代劇って勧善懲悪のエンターテイメントだ。
その時代劇の原点に立ち返りながら、脚本、演出、美術、音楽、撮影、編集など、全てのクオリティを現代の映画レベルで制作してるから、かつて時代劇に持ったであろう「古臭さ」など全くない。
時代劇が時代遅れと思ってる若い人にこそ見てもらいたい。
痛快!壮絶!これぞジャパニーズ・エンターテイメント! 新しい時代劇の可能性を感じさせてくれる傑作だ。