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西成ゴローの四億円 死闘篇のCinemanのレビュー・感想・評価

3.0
『西成ゴローの4億円ー死闘篇ー』
上西雄大監督
2021年日本
鑑賞日:2024年1月20日 U-next

コントラストの強い映像と荒唐無稽な筋立てにひかれて最後まで観た。
この荒っぽい創りは日活時代の鈴木清順作品に通じているかな。
いつか見たプログラム・ピクチャーの王道とも言える不思議な魅力を放つ作品だった。
大阪、しかも西成という特別な地域のがとても魅力的に感じる作品だ。

【物語の概要】
生活保護を受給しながら日雇い労働をする土師悟朗(上西雄大)は、大阪の西成では”人殺しのゴロー”と呼ばれていた。
記憶喪失のゴローは、何故自分が”人殺しのゴロー”と呼ばれるのか、何故西成で日雇い暮らしをしているのか覚えていない。
半グレに襲撃され頭に大怪我を負ったゴローだったが、手術を受けたところ、記憶の一部が戻ってくる。連絡を受け病院にやってきた元妻・片桐真理子(山崎真実)とも再会。そして、娘が難病に侵され助かるには心臓移植が必要だが、治療には海外渡航費含め四億円かかること、父親が殺人犯であることが治療費の援助を受ける妨げになっていることを知る。
妻は大学教授の職を絶たれ、娘の延命費を稼ぐためにSMの風俗嬢をしていた。
現実にショックを受けるゴロー。断片的に記憶が戻り、自分が元日本政府諜報機関ヒューミントの工作員であったことを思い出す。
チームの任務失敗により負傷し、その傷がもとで記憶を失ったことを利用され、チームの責任を負わされて殺人罪で服役。家族も失い刑務所で5年過ごし、特赦により出所した後、気付けば今の西成での暮らしにたどり着いていたのだった。
ゴローは、娘の治療費の四億円を稼ぐことを固く決意。
そんな彼の前にかつて同僚だったヒューミントの日向誠人(津田寛治)が現れ、ヒューミントの下請けを持ちかける。
娘のために仕事を引き受け、再び闇の道を歩き出したゴローだったが、絶大な力を持つフィクサー・莫炉脩吉(奥田瑛二)との闘いが待ち受けていた……。
〜MOVIE WALKER PRESSより〜

【Trivia & Topics】
✥大阪下町の臭い。
先日久しぶりに見た「ドキュメント72時間〜大阪 昭和から続くアパートで」が面白かった。
造船業が盛んだった昭和40年に建てられ、
今もおよそ70世帯が暮らしている大阪港近くに並ぶ3棟の古びたアパートを舞台にした72時間。

同番組にはこんなのもあるんだね。
「ドキュメント72時間 大阪・西成 24時間夫婦食堂」
再開発が進む大阪・西成。町の一角に、40年以上続く24時間営業の食堂がある。
店の売りは大盛りのメニューと聞き上手なマスターとママ。
2人にグチや悩みを聞いてもらおうと、絶えることなくお客さんがやってくる。

大阪の下町を伝える作品で印象的だった映画は西尾孔志監督の『ソウル・フラワー・トレイン』(2013)。
絶品だったのは犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」(2003)。

他に西成地区を舞台にした映画を調べたら見つかったのがこれらの作品。

・『解放区』(2019) U-next

・『おとうと』(2010) 

・『まんが じゃりン子チエ アニメ』(1981)

・『仁義の墓場』(1975)

しばらく西成めぐりをしてみようかな。

【5 star rating】
☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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