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ポップスが最高に輝いた夜のCinemanのレビュー・感想・評価

ポップスが最高に輝いた夜(2024年製作の映画)
4.0
1985年1月28日夜のある出来事を綴った理屈抜きに楽しめて感動するドキュメンタリー作品だ。

イギリスとアイルランドの人気ミュージシャンが集結したアフリカ飢餓救済のチャリティープロジェクト「バンド・エイド」に触発されたアメリカの大御所ミュージシャン、ハリー・ベラフォンテが発起人となって生まれたのが「USAフォー・アフリカ」。

このプロジェクトはマイケル・ジャクソンとライオネル・リッチーが共作した楽曲「ウィ・アー・ザ・ワールド」に当時のアメリカ音楽界を代表する45人が参加し、世界中で爆発的なヒットになった。

この作品は45人のアメリカのポップ・スターがひとつのスタジオに集まり、たった一夜で録音された「ウィ・アー・ザ・ワールド」誕生の舞台裏を描いている。
全員のスケジュールを調整していたら事は始まらないので声をかけた多くのメンバーが出演するアメリカ・ポップス界年に一度の大イベント「アメリカン・ミュージック・アワード」の終わった夜から翌朝にかけて録音することが決まった。
 
テレビの生中継が終わると参加者はその足でA&Mスタジオに直行。
この曲の作曲者でプロジェクトの中心人物だったライオネル・リッチーはその年の司会役まで務めていたという過激なスケジュールだ。

恐らく二度と実現しないであろう奇跡的な録音風景の様子を捉えている。
あの大スターが「前からファンだったの、サインを下さい」とレジェンドにねだったり、待ち時間が長いので泥酔したあの人や、短いソロパートを分け合ったポップスターたちは、ある時は牽制しあい、ある時は冗談を言い合い、ある時はイラつきながら、極度の疲労や眠気と闘いながら朝を迎えた。

まとめ役として活躍したライオネル・リッチーの献身ぶりとプロデューサーのクインシー・ジョーンズの音楽的センスと統率力がこのプロジェクトを成功に導いたことがひしひしと感じられる。 

特に興味深かったのはボブ・ディラン。
アメリカン・ポップスの伝説的カリスマ、ボブ・ディランが他のメンバーと混じっているのがとても不思議だ。
リハーサル中もただ一人浮いている。
自分が何をやればいいのかをつかめずメンバーの中でも浮いてモジモジしているがディラン特有の節回しでソロパートを歌い始めると見事にボブ・ディラン一色に染まってしまう。
企画がスタートしてから録音終了までを追ったあり得ないほど貴重な映像に終始する至福の97分!

【Trivia & Topics】
✥アフリカへの寄付。
発売された「ウィ・アー・ザ・ワールド」は全世界で2、000万枚の大ヒットを記録。全員無償で参加し、印税は全額アフリカへのチャリティーとして寄付された。

✥参加者。
•クインシー・ジョーンズ(プロデューサー及び指揮)・故人
•アル・ジャロウ・故人
•ウィリー・ネルソン
•ウェイロン・ジェニングス・故人
•キム・カーンズ
•ケニー・ロギンス
•ケニー・ロジャース・故人
•ジェフリー・オズボーン
•ジェームス・イングラム・故人
•ジャッキー・ジャクソン
•シンディ・ローパー
•シーラ・E
•スティーヴィー・ワンダー
•スティーヴ・ペリー
•スモーキー・ロビンソン
•ダイアナ・ロス
•ダリル・ホール&ジョン・オーツ
•ダン・エイクロイド
•ディオンヌ・ワーウィック
•ティト・ジャクソン
•ティナ・ターナー
•ハリー・ベラフォンテ・故人
•ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース・故人含む
•ビリー・ジョエル
•ブルース・スプリングスティーン
•ベット・ミドラー
•ポインター・シスターズ・故人含む
•ボブ・ゲルドフ
•ボブ・ディラン
•ポール・サイモン
•マイケル・ジャクソン・故人
•マーロン・ジャクソン
•ライオネル・リッチー
•ラトーヤ・ジャクソン
•ランディ・ジャクソン
•リンジー・バッキンガム
•レイ・チャールズ
(2024年3月19日現在)

【5 star rating】
☆☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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