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ボーはおそれているのnanaのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

アリ・アスターはいつも「すべては最初から運命で決まっていた。仕組まれていた。どう抗ってもあがいても無駄だ」ということを描いていますが、今作でもそれは同じでした。
そして、母親からの呪縛という部分はミュンヒハウゼン症候群の短編も思い出したり。
Jewish motherという言葉があるくらいで、あの母親の過保護・過干渉っぷりはユダヤ人あるあるなのか?

世界一治安の悪い街。
部屋の中でも外でも、起きてほしくないことがどんどん起きる。
水一本であそこまでサスペンスになるか。
症状や薬をあまりインターネットで検索してはいけない。

分かりやすく悲惨なドタバタコメディで面白いのは序盤だったかもしれません。
パートごとに舞台が分かれており、だいたいボーが気絶したところでパートが変わるのも笑える。
ドゥニ・メノーシェが出てるの知らなくて、すごいドゥニ・メノーシェみたいな人がいると思ったら本人だった。

今作が描くのは、ユダヤ人の受難。
どこにいても自分の本当の居場所じゃないような気がする。
「そこはお前の居場所じゃない」と言われているような気がする。
ユダヤ人のそれは、長い長い歴史から現在の様々な問題に続いています。

長い長い旅の果て。
物語が終わってエンドクレジットが出る瞬間、あの劇場全体に漂う困惑した空気感が忘れがたい。
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