Ryoma

カビリアの夜のRyomaのレビュー・感想・評価

カビリアの夜(1957年製作の映画)
4.8
ほんとうに感動した。ひとかたまりの、熱気を帯びた、表面の微かに、震える風が、おれの中でふつふつと、湧き上がってくる、色んな色を纏っている、感情という感情を、一旦ぐちゃぐちゃに撹拌してきて、しかし、映画の終わる頃には、スーッと全部を消してしまい、まるで魔法みたいに、真っ白い、闇みたいな時空の只中で……。完全に、取り残され、あーとか、あるいは、うーとか、言葉にできない言葉の狭間でそうやって、悶えるほか、なかった。夜なのに、真っ白い闇。めんどくさい一部のシネフィルたちは、この少々、情に流されすぎな感じのあるドラマを、俗だとかいって、ケチつける気がしてならんが、おれはそんなこというやつ、素直に人間の感情に、己のツラをツッと、向き合わそうとせんやつのこと、信用できない。ほんとうに夢幻に、かき乱され、しかし清々しい、感無量の心地だわ、これは。あまりに哀しいし、あまりに。フェリーニすこだわ。
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