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『映画検閲官(仮題)』に投稿された感想・評価

horahuki

horahukiの感想・評価

3.8
社会の検閲 と 心の検閲

ホラー映画のグロシーンをカットする映画検閲官の主人公。偉そうにバッサバッサとカットしてたら、自分が過去に検閲してOK出した映画に影響されたと思われる殺人事件が発生!😱「何でOK出したん?」と世間に責められ、どんどんおかしくなっていくサイコホラー。

あの破茶滅茶スプラッター『エヴィルエド』の真面目版みたいな感じ。編集者と検閲官の違いはあれど、グロダメ絶対!なエドさんがグロシーンをカットしていくうちに次第に虚実が混濁して狂い始めるのと近似な展開を見せている。

いきなり『ドリラーキラー』の映像をぶち込んでくるあたりサイコーなんだけど、大事な映画をこんな汚物を見るような目つきの人たちがカットしてるんか…っていうのが何か悲しい気持ちになった😭

70年代の中盤以降に検閲の厳しさがエスカレートしたイギリス。80年代を舞台とした本作を見る限りその厳しさはどんどん過激化していったのでしょうね…。本作では無感情のまま映画を見て淡々とOUTな箇所をメモする主人公たちと、マーガレットサッチャーの映像、映画の影響について議論するニュース音声、そして社会的関心が高まった故に「少しでも問題があるなら拒絶する」という検閲官の態度が生み出される。

そしてその社会的検閲を心の検閲とリンクさせるというフロイト的な展開を本作は見せる。主人公は子どもの頃、森の中で遊んでる時に妹が行方不明になっており、その時の記憶が一切ない。まさに防衛反応であって、検問所の行う検閲によって主人公の記憶は閉ざされている。主人公は検閲の向こう側に手を伸ばそうとして、自身の過去に封じ込めた「魔」を引き寄せてしまう…。

だから本作は一見すると「検閲は大事!必要!」みたいな話に見えてくるんだけど、ホラー映画なりなんなりが起点となり、自分の中で抑圧されていたものが表へ出てくる…という(遅すぎたかつ誤った)精神治療の過程を描いたものと見ることもできる。主人公が狂ってしまうのは、彼女を抑圧させてしまった検閲システムそのもの(=社会的要請、向き合おうとする彼女を無視した両親)によって表に出すことができずに膨らみ続けた結果であって、その「あるがまま」を強制的に抑え込むことの危険性を本作は訴えたいんだと思った。
GreenT

GreenTの感想・評価

3.5
これはホラー映画ではありませんので、ホラー映画嫌いな方も安心して御覧ください。


イニッドはBBFCというイギリスの映倫のような機関で映画の検閲官をしているが、暴力シーンを厳しく取り締まるので「ミス・リトル・パーフェクト」などと同僚から陰口を叩かれている。

イニッドを演じるニーヴ・アルガーって人がいいですね。セレブ臭がない役者って雰囲気。って思ってたら、『レイズド・バイ・ウルヴス/神なき惑星』にも出てたわ。どっかで観たことあると思った。

イニッドの妹ニナは、7歳のときに行方不明になったままで、イニッドの両親はとうとうニナを死亡認定することに決めるが、イニッドはニナが生きていると信じたい・・・。

どうもイニッドは、ニナがいなくなった時一緒にいたのに、状況が記憶から抜け落ちていて、それで罪の意識を感じているらしい。映画の検閲官になったのも、暴力的な映画が犯罪を助長すると信じていて、それを防ぎたいと思ったからのようだ。

この映画すごい興味を持ったのは、プロットに層があるなあって思ったからなんですね。イニッドが映画の検閲官って設定も新鮮だったし、妹が行方不明というのもミステリーがあるんだけど、その背景になっている1985年のイギリスは、サッチャー政権下で「ヴィデオ・ナスティ」っていう運動があったらしい。

これは、たくさんのスプラッターやスラッシャー的なB級映画がVHSでバンバン販売されるようになって、子供も観るし、そうした映画に影響された犯罪が出てきたり、社会的に映画を厳しく取り締まるようになった動きで、アメリカの「サタニック・パニック」に匹敵するものらしい。

確かにこの頃、ジューダス・プリーストやツイステッド・シスターズなどのメタル・バンドが裁判やったり、レコードに “Parental Guidance” のステッカーが貼られるようになった時期。だけど私、イギリスの「ヴィデオ・ナスティ」ってのは知らなかった。

こういう社会的背景っていうか、「設定はXXXX年」ってしておいて、全くプロットに絡んでこなくて「現代の設定にすればいいじゃん」って思う映画も多いのですが、この映画はイニットが選んだ職業が映画検閲官なのは、「妹が行方不明になったのは自分のせい」という罪悪感と、この時代の「犯罪は映画のせい」という認識のためだったんだ、と物語にガッツリ絡んできて上手いなあ、と思わされました。

イニットの服装も、オールド・ミス的な、ひっつめ頭に襟の詰まったブラウス、金縁メガネ(首からかける鎖付き)という、80s的な感じが上手い。

それプラスもう一つの層は、当時の女性蔑視的な社会。暴力的な映画に出資する有名プロデューサーがイニッドに「検閲官なのに美人だねえ。僕の映画に出て欲しいよ」とか言う。イニッドが「レイプされ八つ裂きにされる役なんてイヤよ」とやり返すと「大衆はそれを望んでいるんだよ」と言われる。

これは映画業界における女性の扱われ方というもう一つの層もあるし、人間には暴力的な本質があるのでは?など何重にもストーリーに絡んでくる。

そしてイニッドは、このプロデューサーが制作した映画のストーリーが、自分の妹が消えた時の状況に似ていることを発見するのだが、この映画では姉が妹を惨殺する。妹役の女優が自分の行方不明の妹だと確信し、イニッドはこの女優を「搾取する映画業界」から救おうとするが・・・・。


って面白い話でしょ?ちょっと私の個人的な好みではスロー過ぎるところもあったのですが、陰鬱な雰囲気も良いし、なによりもストーリーが面白い!

続きはコメント欄で!
["有害な映画たち"は有害なのか?] 80点

"Video nasty"とは、イギリスで使われた低予算ホラー映画を指す単語で、その暴力的な描写が社会に有害とされたことで付けられたようだ。主人公イーニッドはそんな低予算血塗れ映画の検閲官をしている。その暗い過去を振り切るかのように、人体破壊映画をズタズタに切り刻む仕事に没頭していた。その暗い過去というのは、幼い頃に遊びに行った先の森で妹を見失って、未だに行方不明だということ。両親は既に妹のことを諦める決断を下すが、イーニッドには諦めきれない。そんなとき、あるビデオに出てくる女優が妹そっくりであることに気が付く。現実と映画内映画の世界が融合していく過程は、血を意味する赤いライトで表されているんだが、やはり印象的なのは原因ともなった映画『Don't Go to the Church』の惨殺シーンだろう。直接的なシーンは見せないが、映写室から伸びる光線が徐々に赤みを帯びてくる=画面に血が広がっていることの直接的な示唆となっていて、これが後の映画に感染していくのが面白い。

本作品が奇妙なのは、所謂"有害な映画たち"という文言を皮肉りながら、その"有害な映画たち"に肉薄していく点だろう。正義の名の下に"この映画は殺人を誘発するかもしれない"として"有害な映画たち"を取り締まっている検閲官イーニッドが、妹に似た女優を追う過程でビデオと現実の区別が付かなくなっていくのは、彼女がこの手の映画が"有害である"と信じていることの証左なのかもしれない。監督は闇落ちした検閲官を使って保守的な考えを非難したかったのかもしれないが、結果的に"有害な映画たち"が殺人を引き起こしているのでなんとも言えないのが奇妙なのだ。監督の狙いはどこにあるのだろう?

昨年の『Calm with Horses』、今年の『Wrath of Man』と連続で遭遇することになり、今年の個人的ライジングスターとなったニーヴ・アルガー(Niamhはアイルランド語で、英語で言うNieveに相当するらしい)がイーニッドを演じている。知らずに遭遇してめちゃくちゃ嬉しかったので締めに書いておく。

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