しろくま

映画 あたしンちのしろくまのレビュー・感想・評価

映画 あたしンち(2003年製作の映画)
3.4
《歩道橋で雷の直撃を受けた二人は》
〝えっ?えーっ!あたしたち入れ替わっちゃったあ〟〝どうして、あたしお母さんなの?本当は17歳なのに、いきなりこんなおデブのオバさんになっちゃって、もうどうしよう〟

入れ替わって動揺しているのは分かるけど、それってオカンのことをディスってない?オカンだってショックを受けている…のかと思ったら〝夕飯はどっちが作るの?〟って何?今の状況を受け入れようとしているというより、この際だからオカンの仕事を任せちゃおうっていう魂胆。

そんな母娘の入れ替わりのドタバタ劇なんだけど、涙を誘うような感動場面もあってなかなか面白い。まるで〝パパとムスメの7日間〟のような展開で、入れ替わることでお互いの大変さが分かるっていう話なんだけど…。

もうひとつの劇場版〝あたしンち〟がヒーロー物あるあるで、〝スパイダーマン〟ぽかったんで、本作もパパムス(2006)にインスパイアされたのかと思ったら、本作(2003)の方が先に作られていて…。気になって調べてみたら、同じように母と娘が入れ替わる〝フォーチュン・クッキー〟っていう作品があって、その作品を観たパパムスの作者が「映画『フォーチュン・クッキー』(2003)という入れ替わりモノがあるのですが、それを観たときに非常に腹が立った。どうしたらこんなにつまらなくできるのか。あまりにも腹が立ってので、どうにかして面白くしたいと思った」って言っているけど、ほぼ同じシチュエーションの作品を後から作って、そんな発言して大丈夫?

実は、〝フォーチュンクッキー〟はジョディ・フォスターの〝フリーキーフライデー〟(1976)のリメイクで、ということは、あの大林監督の名作〝転校生〟(1983)〈原作の〝おれがあいつであいつがおれで 〟(1979)〉よりも前から入れ替わりの作品が作られていたってことね。

パパムスの作者のあの発言を読むと、なんか後味が悪いけど、パパムスも本作もお勧めの作品。木登りをした後の娘の一言が泣かせるし、いつになく頼りになるオトンも素敵。後半〝バック・トゥ・ザ・フューチャー〟を彷彿とさせる手に汗握る展開になって目が離せない。そして、ラストシーンで、オカンがハトになるって思って観ていたら…。あれっ…。

視聴メモ:2023.09.01/126/Abematv
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