ドント

戦慄のリンクのドントのレビュー・感想・評価

戦慄のリンク(2020年製作の映画)
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 2020年。現代日本ホラー映像作品の立役者のひとり鶴田法男が中国に渡って撮ったウェブ・ホラー映画。リレー方式で書かれながらも頓挫していたウェブ恐怖小説、突如として最終章が更新され、それを読んだ当時の執筆者たちが次々と死んでゆく……
 ご存じの方もおられようが、中国というのは規制が大変厳しい。「不道徳なのはダメ」とか「警察をあほに描いてはいけない」とか。さらに詳細は伏せるがホラー映画としては致命的とすら思えるルールがある。そんな所でホラーを撮ったわけで、大変な工夫があり、苦労したろうなぁと思う。
 が、しかし。その辺への同情はしつつも、または「あ、そうなの?」となる展開もさておき、この怖くなさ、恐怖描写の鈍さといったら一体どういうことなのか? なんか向こうでは「あんまり怖くしちゃダメ」という規制もあるのだろうか。出てくるオバケがほぼ貞子スタイル(スソにラインは入っている)とか、全体にのっぺりと明るすぎるとか、演出や撮影のキレのなさとか、「おおっ」となるシーンもろくにないまま、ただ一切が過ぎてゆきます。
 見所はピントが合わないオバケの姿くらいで、それだってもはや古風だし、「呪われる」場面もオッ!邪悪だね!とテンションの上がる代物でもなく、クライマックスの大胆な「反転」もどうにも鈍い。一昔前のテレビのホラーの調子のよくないやつ、といった出来である。ウ、ウウン、ウウ~ン……と悶々とし続けてしまい、なんだか体調が悪くなった。
 3割くらいは中国の規制が悪いということにしておきたいものの、でも7割はこっちのアレであるし、まぁなんというか……つらいなぁこれは。どうにもつらくていけなかったですよ私は。
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