さー

カラーパープルのさーのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
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果たしてミュージカルという形式を取ったことは、吉と出たのか凶と出たのか……

まず、この物語そのものにはとてつもないパワーがある。そして歌がそのパワーを増強していると感じるシーンもあれば、歌があるせいで観る側の気持ちが一瞬で萎むシーンもあった。ミュージカルシーンを増やしたいから、物語的に重要でない部分でもあえて歌って踊ってもらいました感もある。シーンごとに、悪い意味で緩急が激しい作品だった。

映画としての出来栄えはともあれ、このストーリーには本当に胸を打たれるし、出演者たちの演技は圧巻。いちばん泣いて苦しかったシーンは、結局歌ってなかったし、やっぱりミュージカルじゃなくて良かったのかも…?

考えさせられたのは、今作における『信仰心』の存在。神への信仰なくしては成り立たない話だから、もはやわたしが100%今作を理解できる日は来ないんじゃないかと思うと悲しい。抑圧に対抗する力のほんとのほんとの根源の部分に信仰があるっていうのは、説明されてもよく分からないし、この点歌ってもらえると、分からんなりに心に響くものはあるので、やっぱりミュージカルで良かったのかも(笑)

親に抑圧される子、夫に抑圧される妻、白人に抑圧される黒人…そこに『赦し』というアンサーが生まれるなんて想像もできなかったけど、今作を見ることでほーーーーんの少し分かったような気がした。
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