健一

カラーパープルの健一のレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
3.5
紫の美しさを感じなければ神も寂しがる。



1985年にスティーブン・スピルバーグが撮った意欲作をまさかのミュージカル映画としてリメイク!
しかもオプラ・ウィンフリーとクインシー・ジョーンズと3人で製作総指揮まで買って出た。

これは あの時の リベンジ?

当時('85)ヒットメーカーとしてハリウッドに君臨していたスピルバーグが冒険もファンタジーもアクションもない超マジメな作品を撮り世に送り出した。
それが本作のオリジナル版の「カラーパープル」。
アカデミー賞では10部門にノミネートされ、更なる『ハリウッドの王(キング)』を目指したが・・・
結果はなんと 1部門も受賞出来なかった。
授賞式翌日。各メディアは
『スピルバーグの高望みは叶わず』
『欲張りすぎたスピルバーグ』
『アカデミー賞狙いが 見え見え だった。』
『アカデミー協会はますますヒットメーカーが嫌いになった』
『この 受賞0 こそ黒人への差別』
などなど。
一時、アメリカ映画界は大混乱になり 賛否両論あったもののスピルバーグは鬼のようにメディアに叩かれてしまいました。😔
あれから38年。
監督賞も2回受賞し、すっかりアカデミーとも仲直りしたスピルバーグが今度はプロデューサーとしてこのリメイク版に参加。

しかし、あれ?

本作は受賞どころか主要部門にノミネートすらされていない。😱
鑑賞前に一気に不安になってしまったのだが・・・
大丈夫かな?


さて本作。 ネタバレあり。


まず第一に。
オリジナル版の事は一旦忘れたほうがいいような気がする。
全く別物として本作を楽しまれたほうがいいような気が 私はした。
で本作。ミュージカル映画としては大変素晴らしいと思います。
ちょっと絶望と悲しみと そして元気ハツラツな歌とダンスという真逆な設定に少々戸惑うが一人の女性の壮絶な半生、人種差別・黒人差別への怒り 憤り もどかしさをこれでもかとリアルに突きつけてくる演出はさすがの一言。
特に歌とダンスは超一級品。これは是非とも映画館の大スクリーンで堪能してほしい。
激しい差別や女性への偏見。絶望から立ち上がる主人公の姿には否応なしにも勇気を与えてくれる。
ソフィアを演じたダニエル・ブルックスが唯一アカデミー助演女優賞にノミネートされたが、シュグを演じたタラジ・P・ヘンソンもノミネートされてもよかったのでは。
素晴らしい作品だったのは間違いないのだが、変な違和感を感じるのも事実。
ちょっと作った(製作した)時期を間違えてしまった。というか遅すぎたのでは?
2000年〜2010年頃に製作したほうがよかったような気がする。
なんかこう、観ていても『今更感』を感じてしまったのは何故だろうか?

『自分らしく生きるとは』みたいな現代人に向けたメッセージも含まれていたのだが、
『いやいや、私達よりあなた達のほうが大変でしょ?』
と心の中でつぶやく自分がいる・・・



2024年 2月9日 公開初日 8:00〜
新宿ピカデリーscreen 2
💺301 席
客入り 30人くらい。

全然関係ない話。🙇‍♂️

1月31日に長きに渡って地元に愛され続けた吉祥寺の映画館『吉祥寺プラザ』が60年の歴史に幕を下ろしました。
初めて訪れ観た作品は これもスピルバーグのマジメな作品「アミスタッド」でした。
屋上にバッティングセンターがあって上映中に『カキーーーーン!』というボールを打つ音が響き渡る映画館で、今となってはいい思い出です。
館主さん、スタッフの方々。
長い間お疲れ様でした。 🥹
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