うちだ

尼僧ヨアンナのうちだのレビュー・感想・評価

尼僧ヨアンナ(1961年製作の映画)
5.0
灰とダイヤモンドに並ぶポーランド映画の名作らしい。
灰とダイヤモンドは割とシンプルで社会派な感じだったけど、こっちはかなり芸術的で普遍的な内容を扱ってる。
テーマのせいかもしれないけど映画全体からどこかベルイマン臭がする、多少意識はしてると思う。

戒律や規則で禁欲を強いられておかしくなり、魔法使いとの出会いをきっかけに欲にまみれてしまった尼僧長を「悪魔に取り憑かれた」と称して神父が悪魔祓いをしようとする。が、全く解決しない。むしろ、キリスト教的価値観の押し付けこそが悪魔を助長させる原因だと言うことに神父は気づかない。欲望は他の尼僧にも伝染して集団ヒステリーのようになり、手がつけられなくなる。

共産圏だからなのか、それとも監督の嗜好かはわからないけど、キリスト教の教義を嘲笑っているかのような内容だった。罪の意識はあるがやめられない、堕落しているのが見つかったらションボリしちゃうっていうのが、学校で先生に見つからないように悪さしちゃう生徒みたく、なんか微笑ましくなった。
そして、元々人類の愛を謳いながら、特に信ずる者にはきつい禁欲を強いて、もはや愛とは何かすら考えられなくなってしまい、愛が罪であるとさえしてしまうキリスト教の矛盾を感じた。

カメラの視点が主人公になったりヨアンナになったりして、ものすごい引き込んでくる映像だった。ヨアンナの演技が怖い。まだまだ理解しきれてないからまた観たい。
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