西村権太郎

ステージ・マザーの西村権太郎のレビュー・感想・評価

ステージ・マザー(2020年製作の映画)
4.0
煩さ過ぎず小気味良いショーが観れる、こぢんまりアットホームで、お洒落だけど落ち着いた感じの、
オーバードーズで死んだ息子が遺したそのゲイバーみたいに、
静かな感動を呼ぶ可愛い作品だった。

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訳有って昨日二丁目で飲んだのですが、私はやっぱりオカマ苦手です。ゲイぎらいのゲイって訳です。
で昔からドラグ・クイーンがホントキモくて嫌いで仕方無くて、ゲイ業界でも幅を利かせてるのが意味分かんなくて。
つまりその、どうしても女の格好がしたい、迄は仕方無いにしても、なんであんなドギツい顔とかで人の事を驚かせ・怖がらせなきゃ気が済まないのか。
それが分からない。下品。
マジョリティーからの、LGBTに対する抵抗感が増してしまうじゃないか、といつも思ってます。

まあでもルーシー・リューが割とらしくない役で出てるので、だから観たいなと兼ねてから思っていた作品でした。

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ビックリする様な仕掛け等は何も有りませんが、LGBTの人間の生き辛さがしっかり描かれていたのが良かったです。
如何に生き辛いか。

ある時、知的レベル・社会的レベルが高いとされている職業に就いている人に、「ゲイとか何が生き辛いのか分からない。恋愛対象が同性ってだけじゃん。仕事とかと関係無いじゃん。」と言われた事が有ります。
がしかし私は、歳が行けば行く程思うのは
普通の人が伸び伸び生きて、美味しく吸っている空気の、僕らは10%ぐらいしか吸ってないと感じる、といった事です。
逆に彼らとの違いが10%や20%ではなく、95%ぐらい違うんじゃないかと。
美味しいと思うご飯、美しいと思う景色、楽しいと感じる。
それが彼らにとって100%だとしたら、その10%ぐらいしか感じられていない、と
その思いが年々強まります。
知識が豊富になればなる程。
その享受エンジョイ・レベルが、
昔は70%60%ぐらいかな…と思ってたんですが、実際長く生きると10〜5%ぐらいだなと感じています。
生きていて楽しくないのです。
悲嘆・苦悩・痛みしか募らない。

一方あの人達(普通の人達)は、超伸び伸び、超楽〜に、超ぬるま湯人生なんだろうなって思えて来ちゃって。。
親族の死や病気は、私達にも平等ですし。。

この作品の中でも、クスリ使う人に主人公が「何が悲しいの?」と訊いていました。
相手は分かんない、兎に角。みたいに答えてたかな。

どの点、なんて答えられません。
だって全てですから。
こういった問題が有る事すら知らない人間ばかりの地球でそんな立場で生まれてしまうという貧乏くじを引いてしまって、
どの点が悲しいか、なんて
説明出来ません!

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それ故薬物に依存してしまったり(無理も無いので非難は許さない)、短命であったり、社会で活躍出来ず能力を伸長出来ず低収入であったり、悲嘆や苦悩から免疫力が下がり体が不調であったり…
それとか逆の立場のムカつく父親も、生まれた息子がオカマだった、といった悲嘆を背負って生きて、イマイチ幸せではなさそうでした。
保守優位のテキサスです。家にお父さんの友達達が集まって瓶ビール飲みながらスポーツ中継観戦でワーワー言うホモ・ソーシャル。
その辺りが現実的な描写でした。

それらのLGBTを取り巻く環境、状況、問題が、
一応軽く一通り舐めてあって
大袈裟な演出も無く几帳面に並べてあって
凄く好感が持てました。

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2度オスカー候補になったジャッキー・ウィーバーさんですが、最初、もうちょっとゴージャスな人の方が良くないかなと感じたのですが、
彼女で良かったです。
ピッタリでした。
西村権太郎

西村権太郎