あんじょーら

クライマーズ・ハイのあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレありです。地上波でもやりましたし、出来ればどなたか私に解説して貰いたいです。












1985年の夏、主人公悠木(堤 真一)は山登りが趣味の群馬県にある地方新聞の記者、これから友人安西(高島 政宏)と山登りに行こうとするその時に、日航機墜落事件が起こり、悠木はその全権をワンマン社長(山崎 努)に任されるところから物語は始まる。安西はそんな事件が起こったころ、社の命令で以前の社長秘書のセクハラ問題を示談に持ち込むべく寝る間も無く働いていたこともあり、駅に向かう途中で倒れ、手術で一命を取り留めるも以降意識が戻らない。悠木と信頼関係がある記者佐山(堺 雅人)は現場に新米の記者を連れて直行、壮絶な現場を目にし、その記事を書き、懸命に山を降り、電話を探し、そして校了時間ギリギリに記事を届けようと奮戦するも、実は校了時間が普段より早く設定されていて佐山の書いた記事がその日の紙面を飾ることは無かった。記者にとっては名誉ある1面を飾るチャンスを逃したことになる。一緒に現場を踏んだ新米記者はその時の凄惨な現場を見たことと、自分たちの記事が紙面の良い位置を占めることが出来なかったことから心神喪失状態に陥り、錯乱に近い状態から一時持ち直すも事故死にあう。事故の原因をスクープ(他社を抜くことの意と私は捉えました)するコネがある女性記者が取材をし、裏を取ろうと佐山も懸命な取材をするも今ひとつ確認が出来ない状態で悠木に決断を求められるも悠木は記事の掲載を見送るが、その日の全国紙には同じ内容の事故原因が一面を飾ってしまった。悔やまれる悠木がいる部署に何故か新聞を買い求める母子が現れ、その母子を見て、悠木は遺族に沿った報道をすべきと思いつき、自分の作っている記事が母子を直接新聞社まで買いにくるまでさせている丁寧な記事であると認識、後追いと言われようとも事故原因の記事を次の日に掲載することを決めるも、社長からはこれでは記事じゃなく後追いだ、責任者は左遷だと告げられるが、悠木は辞表を持って出社していた...。社を去る悠木に佐山は事故機の遺書のコピーが手に入った、これを一面に載せよう、と持ちかけるが、ここで回想シーンは終了。安西の息子とおぼしき人物と断崖絶壁を登りきった悠木は息子のハーケンに助けられ、息子に会いに行く決意をして、海外まで行き、息子の家族と向き合うところで映画は終わる。


私は新聞の重要性も理解できますし、これからも(ネットがこれだけ普及する前と比べれば重要性は落ちるとも思われますが)必要なメディアの一つだと思います。また1985年当時の地方紙の果たした役割もよく分かっていないど素人です。それでも私はこの映画を最後まで見ました、いつかもう少し何か分かるようになるのではないか?と思いながら。


でも、ちょっとこの当時の記者の頭には他社を出し抜くスクープと、自分がのし上がっていく為の自尊心と虚栄心しかないように見える映画でした。上司のどうしようもない肥大した過去のプライドに縋る姿もどうかと思いますが、それにしても悠木さんは怒鳴り散らし、怒りまくりで熱過ぎます。途中に錯乱に近い状況に陥ってしまう新米記者に「520人の犠牲者はお前ののぼせあがらせる為に犠牲になったんじゃないんだ!」と怒鳴るシーンがあるのですが、それってまさに悠木に向かって言える言葉だと思います。新聞は他社との競争の為に出すのではなく、受け手の為なはずが、自身の自尊心と虚栄心の為に常にすり替わってしまっている人物しか出てきません。悠木に自分を置き換えて見る視聴者には心地よいかもしれませんが、それ以外の方には不快な感じに受け取られかねないと思うのですが、私は何か伏線を見落としているのでしょうか?


そしてこの悠木親子の葛藤がどういうものであったのかが示唆されてはいますが、あまりにはまり過ぎる葛藤でどうも腑に落ちません。悠木が自分から今までまったく譲歩しなかったからこその関係であったから当然なのですが、自分から近づかなかった理由を推察することが全然出来ませんでした。やはりどこかで見落としてしまったのでしょうか?それに安西さんはどうなったのか?またセクハラもみ消しはどうなったのか?何故辞めた秘書は悠木が好きだったのか?悠木の母と社長の関係は?結局悠木は社を辞めたのでしょうか?佐山に請われて戻ったのでしょうか?などワカラナイことばかりです...私の読解力に問題あるのでしょうけれど、ワカラナイことが多すぎました。


どなたか解説お願いします、この原作を読むのはちょっと控えたいですので。新聞記者の世界ってこんなに単純ではないでしょうからこそ気になりました。もし仮にこの描写が記者の世界に近いとしたら、新聞はもっと読まれなくなるでしょうね。ちなみに役者さんの演技はかなり良かったですし(特に新米記者さんと途中から悠木に協力する上司役の方は良かったと思います)映像もかなり綺麗でした。