Melko

マーメイド・イン・パリのMelkoのレビュー・感想・評価

マーメイド・イン・パリ(2020年製作の映画)
3.7
「私に恋したのね」
「ありえないね。家を燃やされたし、タイプでもない。声は美しいけど、歌手にはコリゴリだ」
「恋するってどんな感じ?」
「喜びと、痛みだよ」

普段は選ばないラブストーリー
人魚は好きな題材なので、見てみたものの、。

ん〜〜惜しい!!
題材もビジュアルも登場人物も全部魅力的で応援したくなるのに、なんだろう、、全部中途半端な感じだった…
もっと色々掘り下げて見せてくれたらもっと感動できたし、出てくる人がみんな良い人だったから全然人を掘り下げてもみれたと思うんだよなー。
これは私は2時間半ぐらいあっても全然良かった。1時間40分は短かった。

原題は「パリのセイレーン」
マーメイドとセイレーンは似てるけど違う
歌で人を惑わし殺すのはセイレーンなんですが、、マーメイドの方が分かりやすかったからか。

元カノの数が40人以上ってのはちょっと引いたけど、優しくてピュアで、好きな人のために一生懸命なところが推せる、不惑の男ガスパール。片腕にタトゥー(しかも花柄)入ってて、細マッチョで、タンクトップに髭面ってのも推せる。
歌で人殺しまくるし人の部屋燃やすし、要らんことしまくる世間知らずだけど、こちらもピュアでチャーミング、天性の魅力の持ち主ルラ。スッピンが可愛すぎて、化粧すると逆にケバくなっちゃうお顔。スッピンの時の透明感がすごい。

失恋し、「もう恋なんてしない」状態なので、ルラの必殺歌声が効かず、ピンピンしてるガスパール
そんな2人が少しずつ距離を縮めていき、お互い恋してるモードになっていくのが微笑ましいし、その代償で胸(心臓)が張り裂けんばかり弱っていくガスパールに、海水に浸からないと死んでしまうルラ。
違う世界に生きる2人が喜びと苦しさに惑わされつつ選択し辿る道は感動したのだけど、2人の世界があまりに中心になりすぎて、周りの人々がビジュアルは奇抜なのに影が薄く、なんとも勿体無い使い方をされてたのが気になる。
ガスパールのおばあちゃんからのフラワーバーガーとサプライザーの設定も、必要だったか?そこ出すならもっともっと掘り下げて欲しかったんだけどな、、
ガスパールが無くして泣くほど大事にしてたあの本も、正直存在意義があまり感じられず。
このストーリー展開と結末なら、いろんな設定がなくても成立してしまうので、雑に扱われた感のあるアレやコレが残念で仕方なかった。ガスパールはいじられキャラだし、色んな場面で慌てふためく様子も面白かったし、2人の恋時にもっと周りの人が介入しても良かったのになぁ、と。それをあの隣人のお節介おばさん1人に背負わせるのは、いくらおばさんが快活だからって、さすがに荷が重すぎる。
普段ラブストーリーを見ると、騒がしい外野がノイズになりうっとうしく感じるのが、この作品は外野があまりに蚊帳の外で寂しい気持ち。
あとどうせならルラにもっとちゃんと歌って欲しかった。歌の場面もガスパールと2人きりだもんなぁ。まぁルラの言うとおり、本気で歌うと聞いた人がもれなく死ぬんだが。
オープニングとエンディングのストップモーション映像や、ガスパールのバスルームの内装、水槽で泳ぐ2人の幻想的なビジュアルは良かったんだけどなぁ。好きな題材なだけに、不完全燃焼。
あとローラースケートが序盤以降登場しないのもなんだかな。

あとコレはめっっちゃ好みの問題で申し訳だけど、人魚はブロンドより黒髪派なんです私…

物語のテイストがあまりに違うけど、登場人物を余すところなく使い、歌も歌い、人魚としての華やかさも切なさもあった「ゆれる人魚」は優秀だったのだな、と。

現時点で、100点満点なビジュアルの実写人魚にまだ出会えていない…いつの日か…
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