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弱くて強い女たちのakihiko810のレビュー・感想・評価

弱くて強い女たち(2020年製作の映画)
4.0
台湾映画。

大きなレストランを経営する、70歳の誕生日を迎えたリンという女性と、3人の娘たちの物語。リンの誕生日、親族が集まる日。
一方的に離婚届を置いて家を出たきり十数年も音信不通だったリンの夫の死を、リンら家族は知らされるのだが…

ダンス講師をしている奔放な長女は、胸のしこりが気になっている。
美容整形医の次女は、10代の娘をアメリカ留学に出そうとしている。
母のレストランを仕切る末娘(四女)は、母が任せてくれず苛立っている。
(三女もいるが、経済的な事情から幼いころに、シンガポールへ養女に出されている。突然の父の訃報を聞きつけ久しぶりに帰郷した。)

台湾版「若草物語」。英題は「Little Big Women」と、若草物語(「Little Women」)を意識している。
本作にはあのビビアン・スーが次女として出演。自分が小学生の頃のスターだったから懐かしい。かなり見ない間に、立派な女優になっていることが感慨深い。

さて本作は、出奔してしまった父が亡くなって帰ってきて、女家族が狼狽する、というお話。
女手一つであったがゆえに、「たくましく」生きざるを得なかった母、しかも夫には別の女がいて…という複雑な心中をうまく描いていたと思う。
群像劇というか、登場人物が多く主役がきっちりと決まっているわけではないので、一人一人の背景が散漫になってしまった印象もあるにはあるが、「人生だもの、一筋縄じゃいかないよね」というのがしっかりと描かれた骨太のドラマであった。
台湾というオリエンタリズムも満載で、画面もとてもカラフルに撮影されていて、台湾以外の海外でも評価が高いのではないかな、と思った。
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