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君は永遠にそいつらより若いのakihiko810のレビュー・感想・評価

3.6
「君の心と存在を弄んで、侵害するそいつらは、どんどん年をとって弱っていくから。君は永遠にそいつらより若いんだよ」

芥川賞作家・津村記久子のデビュー作の映画化。(原作未読)

大学卒業を間近に控え、児童福祉職への就職も決まり、手持ちぶさたな日々を送るホリガイは、身長170cmを超える22歳、処女。
変わり者とされているが、さほど自覚はない。バイトと学校と下宿を行き来し、友人とぐだぐだした日常をすごしている。
同じ大学に通う一つ年下のイノギと知り合うが、過去に痛ましい経験を持つイノギとは、独特な関係を紡いでいく。
そんな中、友人、ホミネの死以降、ホリガイを取り巻く日常の裏に潜む「暴力」と「哀しみ」が顔を見せる...。

うーん、この作品、悪い作品ではない。むしろいい作品なのかもしれない。でも自分には、とことん合わなかった…。この作品には、映画ではなく原作で出会えれば印象も違ったと思うのだが…。

まず、主役の女子大生ホリガイ(佐久間由衣)が全然かわいくない。それはやはり意図的なのだろうけど…。それにうだうだな学生で、キャラ的にも嫌い。
大学生の飲み会から始まるのだが、この飲み会でうざ絡みしてくる野郎が出てきて最悪。ちんこもげればいいのに。
ホリガイもこんなうざい野郎になにするわけでもなくへらへらし、学生生活ではうだうだし、当然のごとく将来の不安を抱える、といったキャラクター。
いや、私も学生時代は似たような人間だったから、共感するかと思ったのだが、むしろ同族嫌悪なのかホリガイはやっぱ嫌いなままだった。
物語中盤で友人が「特に理由もなく」自殺してしまう。本作における、「死の匂い」、ところどころ姿を見せる「加害性」は、物語を奥深くしていていい。
特に理由もなく自殺してしまうのも、思春期の不安という感じで、それもいい。
ラストにホリガイが奮起するのもよい。

と、お話は全体的に良いのだが、特に物語前半のホリガイというキャラが好きではないので、本作に対しての評価は微妙なところになってしまった。
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