akihiko810

愛にイナズマのakihiko810のレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
3.4
祝・Filmarks 800レビュー

「夢をあきらめるんですか」
「そんなワケないでしょ。負けませんよ、私は」

「茜色に焼かれる」の石井裕也監督

26歳の折村花⼦(松岡茉優)は気合いに満ちていた。幼い頃からの夢だった映画監督デビューが⽬前に控えていたからだ。花⼦の若い感性をあからさまに⾺⿅にし、業界の常識を押しつけてくる年上の助監督には困りものだが、空気は全く読めないがやたら魅⼒的な舘正夫(窪⽥正孝)と運命的な出会いを果たし、ようやく⼈⽣が輝き出した⽮先…。卑劣で無責任なプロデューサーに騙され、花⼦は全てを失ってしまう。ギャラも貰えず、⼤切な企画も奪われた。失意のどん底に突き落とされた花⼦を励ますように正夫が問いかける。「夢をあきらめるんですか」「そんなワケないでしょ。負けませんよ、私は」静かに怒りを滾らせ闘うこと誓った花⼦が頼ったのは、10 年以上⾳信不通だった“どうしようもない⽗(佐藤浩市)と兄たち(池松壮亮・若葉⻯也)”だった。正夫と家族を巻き込んだ花⼦の思いもよらない反撃が始まる!

Filmarksで星4.0と高評価の本作だが…、え…これ面白いか??
石井監督作はほかに「茜色に焼かれる」しか見てないが、作品テーマを「詰め込みすぎ」。しかも社会問題をあれもこれもみたく詰めるので(本作はコロナ)、なんか内容にまとまりがなく取っ散らかった感じがする。
社会派やるなら腰を据えて描かなきゃならんでしょ。

本作は、「夢の挫折からの家族回帰」がテーマの作品となるが…前半部の映画監督の功績を助監督にパクられるところ。正直、薄っぺらい人間ばかり出てて面白くなかった。「どうせ悪役だから、」という理由で薄っぺらい人間が出てくるのは、人間の解像度が低いと言わねばならない。そもそも、昨今の傑作コンテンツのトレンド(とくにマンガ作品)は、「悪役は不在で、皆等身大のいい人」だというのに…。

石井監督は社会派問題を作品に織り込みたいらしいが、正直その技量が伴っているのか疑問でもある。コロナ禍を出すなら、こんな主人公たちが飛沫飛ばすような飲み会や飲み屋を出したらいけないだろう。アベノマスクを出せばそれでコロナを描いたことになる、とはさすがにならんよ。

信頼できるレビュアーさんは「社会問題をやる技量は監督になさそうなので、オリジナルの脚本をやめて、一度原作付きの作品をきちんと撮ったらいい」と書いていたのだが、私もそう思う。

よかった面は、雨の中ふたりが夢を誓い合う場面は面白かった。あとは、まぁ普通…。
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