前髪メガネ

あの夏のルカの前髪メガネのレビュー・感想・評価

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
3.7
本作をどうしても観たく遂にDisney+を契約…

北イタリアの美しい港町ポルトロッソを舞台に、海に暮らす「シー・モンスター」と呼ばれる種族の少年ルカが、あこがれの人間の世界に足を踏み入れる、ひと夏の冒険を描いたファンタジーアドベンチャー。北イタリアの港町ポルトロッソの住民たちは、海に住む未知の存在「シー・モンスター」を恐れていた。しかし、実はシー・モンスターたちもまた、地上に暮らす得体の知れない存在である人間たちを恐れている。それぞれの世界は海面で隔てられ、お互いを恐れ、決して交わることはなかった。しかし、地上への好奇心が抑えられないシー・モンスターの少年ルカは、ある夏、親友アルベルトとともに禁断の地である人間の世界へ冒険に出る。

思っていたよりは面白い!
リトル•マーメイドがDisney作品の中でもかなり嫌いの部類なので、本作も口に合わないかもしれないなぁと心配しておりましたが、意外や意外。ちゃんと楽しめました。
リトル•マーメイドとの共通点も多かったのに何故だろう。。
自分なりに考えてみました。

先ず、リトル•マーメイドが苦手な理由。
王族の一人娘が父親の反対を押し切って陸へ行く。
人間に恋をして故郷を捨てる。
元来人間は海の生物の敵(捕食者)。
身分を弁えず身勝手な契約をする。
結局父親含め故郷に迷惑をかける。
それでも人間と結婚を押し切る。
ざっと上げるだけでこの様な感じですかね。纏めると手塩にかけて育てた一人娘がDQN男に惹かれて重要書類持ち出してタトゥー掘って家出する。という印象の作品。

そして、上記点とあの夏のルカとの類似点
平民だが母親の心配を理解しながらも陸への憧れから上陸してしまう。
人間と友達になり家に帰らなくなる。
元来人間はシーモンスターの敵(駆除対象)
特に契約はないがトライアスロンの約束をする。
両親に心配をかけるが他のシーモンスターには迷惑をかけない。
なんやかんやで人間の学校に行く。

成る程。リトルマーメイドでの嫌いな点があの夏のルカでは結構マイルド化されているのかもしれない。

そもそも、ルカは自分の意思ではなくアルベルトの後押しから上陸を果たす時点で印象が違うのかな。
ルカの性格的にも正体がバレたら大変という罪悪感を常に抱えている描写も多い分観ている側もハラハラさせて同調させられているのかも。
これが陸上での生活を危機感無く満喫していたら、主役がアルベルトだったら大分評価が変わるなぁ。
そう考えるとやっぱりPixarは作り方が上手いなぁ。

ただ、結末は結構雑。
シーモンスターをあれだけ恐れていた人間たちなのにそれがたった一言で終わるのは違和感でしかない。
その鶴の一声で終わらせたジュリアの父親もシーモンスターハンターとして有力者という事は何かしらの実績(シーモンスター殺しの経験)とかがあると思えばそこを簡単に水に流してしまうのも違う。なんならアルベルトの父親を殺したのはジュリアの父親だと思っていたからこそこの展開は無理矢理にしか思えない。

そして、結末の学校へ行くルカを送り出すシーン。結局ルカの我を通すような結末でポカン。
百歩譲って港町の人たちとシーモンスターが分かり合えたとしても町の外はなにも変わっていないわけで、寧ろリスクが増える一方なのに自分以外の事を何も考えてない。なんならアルベルトやジュリアの事も考えてない。
アルベルトが好感度ぐい上げして終わり。アルベルトが不憫でならない。

クライマックスから急に残念な終わり方になってしまった。

個人的にはヒックとドラゴンみたいな、何か危機を協力して乗り越えて、そこで初めて両方の種族が共存できる道を見つけて生活を互いに支え合うハッピーエンドを迎えて欲しかった。ベタだけど、それでいいと思う。

もし続編が出来てルカが学校でシーモンスターとバレて大変な事になる的な話なら大きめな声で「ほれ見たことか!」といってしまう気がする。間違いなく言う。

ルカのお母さんが肝っ玉かぁちゃん系だけどルカのこと心底愛していることが強く伝わってきて、そこにはウルっときた😢
前髪メガネ

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