前髪メガネ

私たちのハァハァの前髪メガネのレビュー・感想・評価

私たちのハァハァ(2015年製作の映画)
4.3
好きな気持ちだけを原動力駆け抜ける青春ロードムービー🚲🚲🚲🚲

福岡県北九州市の片田舎に暮らすチエら女子高生4人組みは、福岡で行われたロックバンド「クリープハイプ」のライブの出待ちした際、バンドメンバーが口にした「東京のライブにもぜひ来てください」という言葉を真に受けて、東京行きを決意。高校3年生の最後の夏休みに、自転車で日本を横断する1000キロの旅を始める。

めっちゃ良かった。
心血注げるアーティストがいる方には共感できるところもあるのではないでしょうか?

正直地方住みの高校生だったらここまでの無茶ではないにしろ東京遠征するために衝動的な行動をしていた気がする。

しかも、2015年の作品なのでSNSはあるけどギリギリインターネットの発展途中だったから山あり谷ありのドラマチックな仕上がりになっていたと思う。
これがもし、2020年以降だったら、YouTubeの生配信やらスパチャやらPayPay送金カンパとかであるじゃんとか思っただろうし、そんなの絶対面白くはない。

Twitterではそこそこバズってはいたようだけど旅の助けにはほぼならなかったし、なんなら叩かれているのもちょっと現実的で面白かった。

4人はそれぞれクリープが好きではあったけど気持ちに齟齬があってそのもどかしさでぶつかったりするのもめっちゃ青春って感じで良かった。
自分的は文子の気持ちがめちゃくちゃ理解できて、好きの形に頑固で仲のいい友達で同じパッションで福岡から体力と時間かけてきたのに好きな気持ちに差がある事がショックでそんな自分にも腹が立つの凄いわかる。
ましてやバイトも受からず友達に自分の分まで負担かけてって負い目もある事にも腹立つよね。
あのリプライが許せないのも理解できる。というかあのリプができるかできないかって結構な敬愛度の分岐点でもあってあの演出はとても上手いなぁ。
敬愛するアーティストとの距離感のわきまえ方。クリープがどれくらいSNSのチェックをしているかは知らないけど、あたしが好きなアーティストはリプは勿論、エゴサも関係ないツイートも観たりしてるからSNSに気を使うようにはしている。
だから既にあの女子高生4人の動向がバズってる時点で少なくとも関係者までには届いているだろうし、それこそメンバーまで把握していたとしたら気にはかけるだろうし、万が一事故に巻き込まれたりしたら気にするだろう。そこまでの想像を働かせた上でせめて心配ないふりをするのがファンとして出来る最大の配慮なのに、あんなリプしたら少しだろうと心労をかけるだろうに。
そこまでの配慮や身の振り方が出来ない行動を自分と同じ熱量だと思っていた友達がしていたらそりゃショックよ。
でも逆に文子の思考が異常だと思う人もいるのもわかる。てかわかる年齢になってしまった。
曲だけ聞いてライブに行かない人、CDを買わない人、グッズを買わない人、インタビュー掲載雑誌を買わない人、ゲストのラジオを聞かない人、SNSをフォローしない人、それでも好きを公言するしそれを周りが否定するのもお門違いなんだよなぁ。その人にとっての好きの形ってそれだから。中々飲み込めないよね。

あのケンカのシーンをワンカットで撮っていたのも凄く良かった。
4人それぞれのクリープへの愛の形が浮き出たし、友情としての不満も垣間見えていた。役者の熱や感情が長回しな事で鮮明に伝わってきた。
あのシーンがあって、「アイスと雨音」に繋がっていったのかなと気付いた時はちょっと嬉しかった😌


作中で流れたクリープハイプの曲
左耳
わすれもの
前髪メガネ

前髪メガネ