ウシュアイア

いつかの君にもわかることのウシュアイアのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
3.3
余命わずかなシングルファーザー・ジョンが自分の死後一人取り残される息子マイケルの里親探しをするというお話。

評価は高めだが、心温まるストーリーというよりも重いテーマで淡々と話が進む。前半部分では睡魔に襲われてしまった。ハートウォーミングを求めるのであればおすすめできない。

自分の死後、自分の子どもの里親探しはかなりしんどいと思う。重大なことにも関わらず自分の死後のことなので責任が持てないことなのだ。一般化するなら、自分の死後のことを決めるというのは責任が取れないがゆえ判断が難しいんだと思う。

以上、観ていない人向け。以下ネタバレあり。




邦題は『いつかの君にもわかること』となっているが、原題は”Nowhere Special”ということで、邦題と原題がずれている。

ストーリーとしてはとにかくジョンがコーディネーターとともにマイケルと里親候補の元へ行って、話を聞いてくるのだが、自分の死後のことで責任をもてない重大な判断をしなければいけないということで、なかなか決めることができない。そのため、”Nowhere Special”つまり「特別な場所はどこにもない」ということなのだろう。

ジョンの死をマイケルは理解できないと考え、マイケルに自分の死をはぐらかしながら過ごす日々に焦点を当てるとこのような邦題になるのだろう。

ジョン自身は児童養護施設と里親の下で育ち、ロシア人の彼女との間にマイケルができるが、彼女に逃げられて男手一つでマイケルを育てており、余命いくばくもない重病人にも関わらず、ギリギリまで窓ふきの仕事をしないと生活が苦しく、ジョンの重なる不幸にいたたまれなさを感じた。でも、マイケルがジョンの死後里親の下で暮らして自分のことを忘れてしまっても実の父親であるジョンが窓ふき清掃員であったことをマイケルに伝えてほしい、という思いから、自分自身に誇りを持ちありのままの自分をマイケルに伝えたいというジョンの人間としいての誠実さは好感がもてた。
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