ウシュアイア

オッペンハイマーのウシュアイアのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
原爆の父・オッペンハイマー博士の伝記なのだが、アメリカの核開発政策をめぐる政治・社会サスペンスでもある。

原爆開発により戦争の早期終結に貢献した「英雄」でありながら、戦後ソ連のスパイ疑惑をもたれて不遇の時代を過ごした部分にスポットが当てられている。被爆国の日本人にはピンとこないと思うが、これが米国におけるオッペンハイマー像なんだろう。不遇の科学者ということでいうと、『イミテーション・ゲーム』で描かれたドイツ軍の最強の暗号を解読して英国の勝利に貢献したアラン・チューリングに通ずるものがある。あえて旧来のイメージのまま描くことで当時の感覚との違いが浮き彫りになる側面もある。

日本人が知りたいのは、日本の原爆の被害の惨状を知って博士がどう感じ、その後の人生にどう影響を与えたかである。
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