くま

相撲道~サムライを継ぐ者たち~のくまのレビュー・感想・評価

4.2
昔、お相撲さんって職業としていいなあと思っていた頃があった。
年に六場所、一場所はわずか15日間だから働くのは年に90日。
出番は一日にたった一回、相撲を一回するだけ、その相撲をする時間は一瞬で終わったり、長くても数分。
お相撲さんって仕事的に楽勝じゃん!?って浅はかにも思った。
今はそんな風には思っていないが、相撲の才能とその体格があれば、たった一度の人生ならやってみる価値ある職業、プロスポーツだなあと思っている。 一緒に住んでいた祖父の影響で小学生の頃から大相撲は観ていたし、一時期相撲熱は冷めていたが、昨年から40年来の旧友の誘いで両国国技館で開催される年に二場所(1月と9月)はチケットをゲットして生で観戦するようになり熱が再沸騰している。
今年も行く、2週間後、16日のチケットをゲット。

少し前に観た8話からなる連続ドラマの「サンクチュアリ-聖域-」の影響もある。大相撲の内側をリアルさとユーモアをうまくミックスして暴力的に描いて凄く面白かったそのドラマは本物の相撲をまた生で観たいと思わせてくれたのは間違いない。

今回観たのは同じ大相撲の世界でも完全にリアル、ドキュメンタリー、本物の相撲部屋で撮影したもので特定の本物の力士たちが主役。
特定の力士たちに焦点を当て、違った面白さに溢れていた。

境川部屋の豪栄道(引退前の大関時代)と高田川部屋の雷電(まだ現役の幕内力士、撮影当時は結婚直前~新婚当時)をメインに取材していて激しい稽古風景やチャンコ番力士が料理をする様子、番付が上の力士から順番に食事をする様子、部屋でくつろぐ様子などインタビューを交えて興味深い内容だった。

大相撲の稽古の激しさ、厳しさ、相撲の迫力が画面を通して伝わってきた。
ある力士が言っていた「毎日、交通事故みたいなもんですよ。」
アメリカン・フットボールのような防具もなしの裸での肉弾戦!
100kg以上200kg近い巨体同士が裸で本気でぶつかり合うわけだから、時には頭と頭がぶつかり、お互い頭突きで「ゴツン!」と凄い衝突音。怪我をしない方がおかしい。
実際の本場所でも顔面血だらけになる場面も珍しくない。
普通の人間ならあれだけで救急車、、下手したら即死かもと思う。
実際誰もが痛みや怪我を抱え、それにも負けず黙々と激しい稽古に励む姿に感動した。

強くなるために日々黙々と激しい稽古にただただ励み
少しでも大きくなるためにただただ食べる、ドカ食いの毎日だ。

そんな世界で生きているお相撲さんたちの日常。

世間がどうであろうと我が道を行くっていう姿は素晴らしい。

どんなプロ・スポーツや普通の仕事でも「人生を懸けて」は同じだけどね。

過酷さにめげず激しい稽古を積み重ね、いつか相撲でお金を稼げる関取(十両に上がるまでは給料はない)になることを目指して夢を追い続けるる若い力士たちを「頑張れ!」と応援したくなる映画だった。

登場する力士の中に現役の知っている幕内力士が何人も登場する。
TVで本場所の取組を観る時はそんなに注目しているわけじゃない、そんなに強い力士でもないと思っていたけど、これから見方が変わりそうだ。
みんな超人だ。

みんな頑張れと応援して観戦すると思う。

相撲道には今の日本人が失ってしまったかもしれない、大切な精神、魂が今も生き続けているように、単純な僕は感じた。

相撲ファンなら間違いなく面白いと感じるだろう。
相撲に興味が全くなければどうなのかなあ?
これを観て大相撲に関心を持って好きなってもらえたらと相撲ファンの一人として思う。
くま

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