真っ黒こげ太郎

キリング・マシーンの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

キリング・マシーン(2020年製作の映画)
4.3
「前も言ったが、暴力では何も解決しないんだ。」

「力で抑え込んでも、相手が納得しない限り、同じことの繰り返しだ。」

(暴力を行使しないとは言ってない)




妻を失い、反抗期で問題ばかり起こす息子のテイラーに手を焼きながらも平穏に暮らす男、リチャード。
反抗期真っ盛りで喧嘩盛りな息子に暴力の無意味さを教えるリチャードだったが、息子は聞く耳を持たず、家族関係はやや冷え切っていた。

そんなある日、リチャードは麻酔弾で気絶させられ、気絶してる間に息子が誘拐されてしまう!!!
誘拐した犯人の電話によると、息子の命が惜しければあらかじめ用意した武装を用いてギャング達を皆殺しにするように要求する。
実はリチャードはかつて“殺人兵器:ネロ”と呼ばれた、元特殊部隊工作員の凄腕エージェントだったのだ!!!

リチャードは息子を救うためにかつての戦闘スキルを解き放ち、犯人の要求通りに標的を次々と抹殺してゆくのだった。




犯罪組織に息子を人質に取られた元工作員が、息子を救うために奔走する、格闘アクション。
数多くの格闘アクションを手掛けたアイザック・フロレンティーン監督と同監督と何度もタッグを組んでる次世代アクションスター、スコット・アドキンスさんが久しぶりにタッグを組んだ作品。

アドキンスさんは毎度お馴染みですが、フロレンティーン監督はイマイチだった前作の「リベンジャー 復讐者」からややご無沙汰だったので、こうして新作をまた出してくれて嬉しい限り。
まぁ監督さんのモチベーションが関係してたりするのかもしれませんが…。
(後調べて分かったんですが、フロレンティーンさん、もう62歳なんですね…。)


さて、本作のお話は単純明快。
「息子を攫われた元○○のパパが、息子を救うため奔走する」という、アクション映画好きからしたら親の顔よりもよく見た内容であります。w
(もっと親の顔見ろ。)

しかし、今は人の位置情報などすぐに分かる情報社会なので、敵にこちらの位置情報は完全に知られてしまっている。
無論「コマンドー」みたく、逃げ出してバレる時間までに救うということもできません。
逃げられない以上悪党側のいう事を聞くしかないのですが、幸い殺す相手が皆悪玉なのが幸いでした。

そんな訳で、息子を救うために吹っ切れたアドキンスさんが「観客が見たいのはアクションだろ!」「とにかくアクションしとりゃええんやろ!」と言わんばかりに開き直って、片っ端から敵をボッコボコにしていくというメチャクチャシンプルで分かり易い内容なりました。w
流石ベテラン監督のフロレンティーンさんと監督作常連のアドキンスさんのタッグ作だけあります。我々視聴者が求める物を分かってらっしゃる。


そんな訳でお話に関してはそこまで気にする事は無いでしょう。w
まぁ、敵側のやり口がガバガバだったり、後半で反撃に転じる展開が偶然が重なり過ぎだったりと、若干のツッコミ所はあったりしますが。
まぁ、そんな事を気にしたらこの手のB級アクションは見れんだろう。


という訳で肝心のアクションだが、流石アイザック・フロレンティーンさんの監督作だけあって、格闘アクション方面は説明不要な高クオリティ。
アドキンスさんのアクションは毎度の如くキレッキレで、回し蹴りも肉弾戦もガシガシ決まる。
キッチンでのバイオレンスバトルに、腕を縛られた状態でのハンデバトル等、見せ方も上手く見てるこちらを飽きさせない。
後、銃撃戦もあちこちに配慮されているが、POV要素も盛り込まれたりして悪くない。


ただ、唯一の難点はクライマックス。
ネタバレ防止の為に詳しくは書けないが、銃撃と格闘が連続する派手なクライマックスになだれ込むも、この手の映画でお約束であるラストのタイマンバトルが無かったのだ。
まぁ「バトルフロント」みたく、ラストのタイマンが無くても面白い作品も多いが、今回はあの敵と確実にタイマンするだろうと思ってただけに消化不良気味。
話の落としどころとしては、お互いを尊重して平和に解決した良いラストだとは思うけど、あの敵役の人も中々良い動きをしてただけにラストにもう一バトルが欲しかったなぁ。



とまぁ難点もあったし、映画自体も結構な低予算だと思われるが、久しぶりにアイザック・フロレンティーンさんとスコット・アドキンスさんコンビのアクションが見れて嬉しかったし、キレがありカッコいい格闘アクションも盛り沢山だったので、安定して楽しめました。w
例によって期待しすぎは禁物ですが、暇つぶしにはもってこいなので、格闘アクションファンなら是非。