真っ黒こげ太郎

マッドマックスの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

マッドマックス(1979年製作の映画)
4.5
もう許せない――――。

今!恐怖の暴力に復讐の戦いが始まる―――。




暴走族による凶悪事件が多発していた近未来のオーストラリア。

今日も今日とて、ナイトライダーなる凶悪犯が警察から奪った改造パトカー「V8インターセプター」を乗り回し、暴走していた。
特殊警察「M.F.P.(Main Force Patrol)」に所属する警官、マックス・ロカタンスキーはナイトライダーを追い詰めるが、ナイトライダーはそのまま大クラッシュして事故死する。
暴走族の頭であるトーカッターは、友人であるナイトライダーの死を知り、自分達をコケにした「M.F.P.」へ報復を決意する。

一方マックスは、暴走族の報復で親友で同僚のグースが殺された事をきっかけに精神を病んでしまう。
警官を辞めようとするマックスだが、上司の計らいで長期休暇を取り家族と共に旅行に行くことに。

だが、トーカッター達はマックスの家族に目を付け、妻子を襲撃。
息子は殺され、妻も意識不明の重傷を負ってしまう。

家族を奪われ、怒りに震えるマックスは徹底武装し、署内から「V8インターセプター」を無断拝借!!!
かくして復讐に燃えるマックスとトーカッター一味の壮絶な死闘が始まるのだった…。



妻子を奪われた警官が、復讐の為に暴走族に戦いを挑むバイオレンス・アクション映画。

世紀末を舞台にしたカーアクション映画「マッドマックス」シリーズの記念すべき一作目。


って事で、最近は色々と遊んでてサボってたが(すまぬ)、もう今月末にはシリーズ新作が公開されるって事で、今更ではありますがシリーズ予習します。
世紀末系アクションは大好きだし、何やかんやで今シリーズならドンパチや火薬といったアレコレも満たしてくれそうだからね!!!


という事で早速記念すべき一作目だが、まだこの頃は核戦争で文明が崩壊するより前の世界が舞台で(それでも近未来だが)、暴走族に家族や親友を殺された警官の復讐劇をハードに描いている。
犯罪者に襲われる人々や巻き込まれる主人公の妻子、そして法を無視して悪人を処刑する主人公等、現代劇でもやれそうな雰囲気だ。


しかし、既にヒャッハーしまくりな暴走族が暴虐の限りを尽くし、オーストラリアの荒野を大暴走し、警官と激しい殺し合いを繰り広げてカークラッシュして大爆発したりと、現代に近い舞台設定ながら時すでに世紀末。
暴走族もゲスな悪党揃いだわ、ヤク中でイカレてるメンバーが居るわ、異常なハイテンション状態で吹き替えでも何言ってるか分からねぇ台詞でまくしたてるわで、モヒカン&パンクロッカーな姿になる前から世紀末的ザコムーブをかましまくってる。

何でも当時のオーストラリアは暴走族が社会問題化しており、本作もその流れから生まれた作品であるが、その中に世紀末ヒャッハー伝説の源流があるというのは興味深いですな。


この頃はまだオーストラリアの片田舎で作られた低予算映画なので、物語の舞台もだだっ広い平原&田舎感満載だし、演出もちょいちょい粗い。
それでも、現代まで語り継がれる作品だけあって、激しいカーアクションが展開される冒頭から一気に惹き込まれ、そのまま最後まで壮絶に駆け抜けていく。

予算に負けじと無茶苦茶しまくるカーアクションに、身体を張ったスタント、そして暴走族側のクレイジーっぷり等、見所満載。
当時時代的にCGとかも無いのでスタントの方々はマジですさまじい勢いで吹っ飛びまくってる。
(主人公の腕が轢かれるシーンとかどう撮ったんだ)
スタントシーンで思いっきり地面に吹っ飛ばされる人やバイクが首に当たってる人とかもしっかり映っており、当時はスタントマンの死亡説が流れたそうだがそれも無理はない。
(本作に限らず当時の映画は結構スタントでの死人が出てたそうな。)
因みに本作でデビューとなったメル・ギブソン氏は当時演劇学校に通う学生だった事もあって、まあとにかく若い!!w
まぁ当たり前っちゃ当たり前ですが、まだ爽やか美青年のイケメンなメルギブさんも今見ると新鮮ですな。


ストーリーに関しては王道な復讐の物語で、親友や妻子を殺された主人公が復讐の為タイトル通り狂気(マッド)に染まっていく。
直接的な暴力描写は少ないが、暴走族に襲われる一般市民の恐怖描写や、クラッシュ寸前の目玉大見開き、焼き殺された親友を見る場面、妻と息子が轢き殺される場面等、ショッキングな演出も多く、暴力的でハードな印象を与える。
クライマックスも主人公は全てをかなぐり捨て、狂気(マッド)な世界で復讐の鬼と化し、暴走族を血祭りに上げる。
徹底的にシリアスで、ハリウッド的な救いは無い。
(後の一変した世界でマックスはヒーローになったりしますが、それはまた別のお話。)


壮大な土地を舞台にした容赦ないストーリー、悪党共のヒャッハーなハイテンションっぷり、そして超危険でギリギリのスタント等々、舞台は違えどこの頃から狂気やハイテンション、後のシリーズに繋がる要素をしっかりと描かれた、凄まじい映画だった。
世紀末映画として世間に影響を与えたのは続編や4作目ですが、今作もまたシリアスな物語の中にMAD(狂気)が宿った傑作と言えるでしょう。


さて、次回はまさかの世界設定が変わり、皆が良く知るあの世紀末的世界がハイテンションに描かれます。
まぁ、自分が世紀末的なアレコレを知ったのは同作の影響を受けた「北斗の拳」からなんだけどね。w


NEXT→「マッドマックス2」!!!


世紀末なドンパチアクション映画をよこせ…!!!

それも、一作や二作ではない…。

全部だ…。

全部だ!!!
(♪「水のテーマ」)