真っ黒こげ太郎

ゴジラ-1.0の真っ黒こげ太郎のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

戦後、すべてを失った日本。

その無(ゼロ)が、負(マイナス)になる。

生きて、抗え。




第二次世界大戦末期。
特攻隊員の青年、敷島浩一は特攻隊としての責務を恐れ、零戦が故障したと偽り大戸島の守備隊基地に着陸する。
その夜、島で語り継がれる怪獣「呉爾羅(ゴジラ)」が基地を襲撃する!!!
敷島は20ミリ砲を撃つよう命じられるが、恐怖で撃つことが出来なかった。

終戦後。
帰還した敷島だったが、両親は空襲で他界していた。
その後、同じく空襲で両親を失った女性、大石典子と、彼女が誰かから託された赤ん坊、明子と出会い、3人の共同生活が始まるのだった。

敷島は海に浮かぶ機雷撤去の職に就くが、彼の前に成長したゴジラが再び現れる!!!
ゴジラは圧倒的な力で全てを破壊しつくし、その中で典子が敷島を救う為に犠牲となってしまう。

大切な人を失った敷島は、民間人によってゴジラを倒す為の作戦に参加する。
敷島はゴジラをおびき寄せる誘導役を買って出る。
こうして日本の存亡をかけた「海神作戦(わだつみさくせん)」は開始されたのだった。




戦後間もない日本に現れた、ゴジラの恐怖と抗う人々の死闘を描いた、怪獣映画。
「シン・ゴジラ」以来7年ぶりの国産ゴジラ映画で、ゴジラ生誕70周年記念作品。
監督・脚本・VFX担当は、「ALWAYS 三丁目の夕日」や「STAND BY ME ドラえもん」等で(良くも悪くも)知られる、山崎貴氏。


久しぶりの日本版ゴジラの舞台は、戦後の日本が舞台。
戦後の日本に追い打ちをかけるかの如く襲来し”泣きっ面に蜂”どころか”泣きっ面にゴジラ”な絶望と、それに立ち向かい抗う人々を描く。

…が、毎度の事ながらぶっちゃけゴジラシリーズには思い入れが無いし、今回は予告編の時点でかなりシリアスで重そうな内容だと思って、そこまで積極的に見る気が起きひんかった。
戦後日本が舞台だからゴジラ相手に重火器や兵器類でドンパチ&ドカスカする様な場面も期待できないし…。
(本作を見たレビュワーさんにドンパチがあるかどうか質問したが、あまり期待しないでねと言われた…。(映画館行きを強く勧めてくれたが))

さらに言えば監督の山崎貴さんにも大して思い入れがないし(他の人達みたいに露骨に嫌ってもいないが)、この監督の過去作も「リターナー Returner」しか見てない。
(とは言え「リターナー Returner」は面白かった記憶がある、監督がその後ドラマ映画路線に行ってしまったのが残念だが。)

そんな感じで見る気は−1.0(マイナスワン)所じゃない位からっぽだったのだが、今月末に「ゴジラxコング 新たなる帝国」が公開される。
(ダバダバ走るゴジラとコングすき)
私的には前作が面白かったし(賛否は分かれてたが俺は好き)監督も続投してるので今回もある程度は楽しめるとは思うが、最近は火薬やコマンド要素の無いアクション洋画に対して冷めた目で見てしまう事が増えたのでモチベーションを上げねばと思い立ち、未だにロングラン上映されてる今作を見に行く事にしたのだ。
まぁ火薬やコマンド要素敏感症になったのは大体後期のマーベル映画とマイケル・ベイさんの後任が不甲斐ない所為だが。w
(ファンの皆様ごめんなさい)


そんなこんなで良く言えば「新作に向けて」、悪く言えば「便乗、露払い目的」で、アバウトな気持ちで見に行ったのだが…。



…メッチャおもろかった!!!!


久しぶりに映画館でメッチャ見入ったわー!!!


今作は「ゴジラ(1954)」や「ゴジラ (1984)」の様に、戦後の傷が残る中で人々がゴジラに抗う姿を描いている。
(最も、作中の時系列的にはそれらの作品より古いが)

主人公は戦時中に責務を果たせなかった人間で、その後色々あって家庭を持つが、ゴジラに家族を奪われ自分の戦争を終わらせる為にゴジラに戦いを挑む。
作中のドラマとしては「訳アリ主人公が大切な人を失いゴジラ打倒の為に戦いに身を投じる」という比較的オーソドックスな内容になっている。
まぁ「シン・ゴジラ」とかに比べるとベタな話になった感は否めないが、ぶっちゃけそんな話に期待してなかったし(オイオイ)し、物語もベタなりに起承転結は纏まっている。
キャラクターもそれなりに個性が立っているので誰が誰か分からない事も無かったし。(人の顔と名前が覚えられなさすぎるだけ)

ゴジラの登場シーン&大暴れシーンも素晴らしい。
その強さは圧倒的で、どう考えても戦後でドンパチするには過剰戦闘力すぎるだろと言わんばかりの暴れっぷりで凄まじい。
(主人公は「初遭遇の時に機関銃で撃って止めるべきだった!」と苦悩しているが、こんなん止められないよ。w)
CG合成やVFXは、あっちでアカデミー賞の視覚効果賞(!?)を取っただけあって違和感ないし、放射熱線の凄まじさ、中盤とクライマックスの戦闘描写や町の破壊描写はハリウッドの大作映画と比べても遜色ない大迫力。
(戦闘機や戦艦の活躍が多いのは嬉しい。最近のハリウッドでは何故か出番が少ないけど、CGやVFX使ってもいいから大作アクション映画に出して!w)

前半は絶望しっぱなし&曇りっぱなしなお辛い内容だったが、後半のゴジラ討伐作戦からはベタながら熱い展開の連続で盛り上がる。
正直、ゴジラが圧倒的すぎるし、禁断の兵器も同格の怪獣も居ない中でどうやって倒すんだよと思ってたが、後半からは民間の人々がありあわせの知恵と武器を持ってゴジラに立ち向かう展開はアツい。
(まぁ倒さなきゃ日本滅亡待ったなしだから戦うのは当然なんだけどね。)
ネタバレになるが、クライマックスにあの人が来てくれた場面は「バトルシップ」のクライマックスを思い出してテンションが上がった。w
ラストはビターエンド…と思いきやハッピーエンドに見せかけての…?な不穏ラストもベタだが私的にはこういうラストは大好きだ。


大迫力のゴジラ描写や熱い展開等、見所満載で終始見入った本作。
ただ、主人公側のドラマを丁寧に書きすぎてる感があって、そこら辺は間延びしてる感じがあったのが残念。
特に前半、主人公が帰還して日常を取り戻していくパートは今後のゴジラの絶望を描くために必要だとは思うけど、ちょっと長かったかな。
もっとテンポ良く処理すれば良かったんですけどね、ストーリー自体も面白い物だったし。


って事で、「ゴジラxコング」の前菜のつもりで見たが、スゲー面白かったです。
賛否両論は巻き起こってはいますし、細かい難点が無いわけではないが、基本的にエンタメ大作として楽しめる面白い映画ですので、興味がある人は是非…ってこんだけ遅れて見てるのは俺だけか。w


最近は他の事で遊んでて(オイ)、映画を見る機会が減っていたが、やっぱ面白い映画見るとテンション上がるわ!!!
最近は見たい映画が見れなくて拗らせていたが、今年の下半期は色々と気になる新作が公開されるようなので、今後しばらくはモチベを取り戻したい所ですね。