よっこ

私というパズルのよっこのネタバレレビュー・内容・結末

私というパズル(2020年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

大好きな俳優、ヴァネッサ・カービィが主演ということで鑑賞。

我儘で気の強い役の多いヴァネッサが、辛い出来事に向き合い葛藤していく少し気難しい主人公マーサを演じている。

舞台は米東海岸の街ボストン、薄暗い雲に覆われハッキリしない天気の風景が印象的。

長いリアルな自宅出産シーン、撮り方がとても良くできて旨い。
思わず一緒に深呼吸したくなる臨場感。
出産の喜びも束の間、悲しい現実が訪れる。

訴訟大国アメリカならではの裁判沙汰へとなるが、マーサの喪失感や心の整理も出来ていない状態で毒母がコントロールしようと躍起になるなっているのがイラッとした。

胸の張り、悪露、産後のリアルがそのまま描かれているのに、ただ悲しいのはそこにはいるはずの赤ちゃんがいない。

不条理な状況に置かれ、日常を送りながら悲しみに向き合い、無理に何かをするわけでもないのに、自らの意思に反して周りが勝手に良かれと思って動いてしまう。

必ずしも時間が全てを解決してくれる訳ではないが、マーサが過去を振り返り受け止めた上で、自分の中で折り合いを付け納得できる答えを見つけられたのはよかった。

裁判の時、助産師へ向けた晴れやかな顔は忘れられない。

ラストシーン、リンゴ、橋、まだ日常は続いていく。

個人的にはとても好きな作品になった。
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