うに

アル中女の肖像のうにのレビュー・感想・評価

アル中女の肖像(1979年製作の映画)
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アル中女のシスターフッド

オシャレすぎる衣装!先進的すぎる演出!現代アートみてるみたいな画が続く。
場面場面が良すぎてパンフレットを買った。

本作は支離滅裂だけどアル中女が主人公なのだから仕方ない。
身体に悪い、周囲への迷惑、社会からの冷遇、と悪いことしかない暴飲だけどアル中女はそれしかする事がない。生き甲斐とかじゃなくそれだけ。息をするように酒を飲む。

アル中女は散々な人間だが、美人である程度の経済力もある。この時代の女性からしたら恵まれた境遇だったのかもと思ったり。
そんなアル中女は、社会とその外側にいる人たちを繋ぎ止めるような存在として描かれている。
アル中として破滅してしまった浮浪者の女に酒を差し出す。店で飲んで、道中歩きながら飲み、家に呼んでまだ飲む。

酒という媒介で同じような境遇の女性たちと交流し、支え合うシスターフッド的関係がなんか沁みる。この女性たちは支え合っているが社会的には良い方向には決してならず、アルコールの深みにはまり破滅しかない。だが当人たちは楽しそうなので全く悲劇的ではない。

鑑賞が難しい作品だと思うのでタイミングがあればぜひアル中女の酩酊した世界を体験してもらいたい。
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