ブニュニュエル

雀色の永訣のブニュニュエルのレビュー・感想・評価

雀色の永訣(2020年製作の映画)
4.8
形而上学的な表示やシュルレアリスムな演出はなく、ただただそこにはニヒリズムに溢れた現実があるだけ。音楽もなければ「聴くため」の台詞もない。しかし、私の心にはどんな映画でも感じたことのない悲しみと苦しみが胸に残った。説明が皆無の淡々とした物語であるが、どれだけの言葉が裏に込められているか。

近年日本の映画監督が恐るような、極めてゆったりとした時間の流れ。大胆な遠近の操り。即興演出だと思えない画の設計。

カサヴェテスを参考にしておりながら、セルジオ・レオーネを最大の夢とし、作風は若きタルコフスキーの様でもあり。Seiya Asanoさんの才と、見事に可視化してみせた東吾優希さんの実力と永田はるかさんの存在。