好キコソ物ノ上手ナレ
最近の大谷翔平の活躍を見るまでもなく、その道の一流になるにはこの諺は絶対でしょう。
そしてもう一人、それを強く感じさせるのが今年八冠を達成した弱冠21歳の藤井聡太名人。
本作の主人公、阪田三吉も藤井聡太と同じく三度の飯より将棋が大好きなおじさん。しかし彼が大谷や藤井と決定的に違うのがプロを目指したのが妻子を持ってからというところ。
阪田三吉を語る上では単に将棋が上手いというだけではなく、家族の協力とりわけ妻の小雪のアシストがなくては出世しなかったという所に目が行きます。
明治39(1906)年の大阪から始まる本作。彼の極貧時代を支えた女房小春は、団扇太鼓を激しく叩きながら南妙法蓮華経と唱え必死に三吉を支えた。松たか子に顔立ちが何処となく似ている水戸光子演じる小春は今の時代にはほぼ見かけない女性。
♪吹けば飛ぶよな...でお馴染みの村田英雄の名曲「王将」はもちろん阪田三吉がモデルですがその二番に...
♪あの手この手の 思案を胸に
やぶれ長屋で 今年も暮れた
愚痴も言わずに 女房の小春
つくる笑顔が いじらしい
とありますが、本作が史実に基づいているとすると実際はもっと厳しい生活を送っていて「いじらしい」なんて呑気に言っている場合じゃないですよ三吉さん。
大谷翔平のお嫁さんになる人は一体誰だ?藤井聡太君の彼女になる人は気楽にデート出来ないで大変だ!などと巷で色々と言われている昨今。
その人が誰になるか?もちろん知る由もありませんが、誰がなるにしても小春さんの事を考えれば天国と地獄ではないでしょうか。
※阪田か坂田か正しい表記がハッキリしないらしい!