広島カップ

わが母の記の広島カップのレビュー・感想・評価

わが母の記(2011年製作の映画)
3.7
文豪井上靖と彼の母親の関係を綴った物語。
幼い頃、井上靖は伊豆湯ヶ島の戸籍上の祖母の元に出され「自分は母親に捨てられた」という思いがずっとあったという。
やがて時が経ち、年老いて認知症を患った母親にその事を問うと思いがけない言葉が帰って来るのだった。

認知症を患った老婆役の樹木希林の鬼気迫る演技が流石だなと思う。
記憶を失って行く人間の目、過去の記憶の中で生きる認知症の人の表情が樹木にしか出来ないのではと思わせます。
井上靖役の役所広司が年老いた母親と一対一で過去の出来事を問うシーンは本作のハイライトでしょう。涙ぐむ役所の表情も白眉でした。
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