alyssa

海の上のピアニスト イタリア完全版のalyssaのレビュー・感想・評価

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ヨーロッパとアメリカを結ぶ客船で演奏するピアニスト

「鍵盤」という限りが見える世界では、巧みに音階や旋律を選び、音楽を無限に生み出すことができる1900

そんな彼は、限りが見えない外の世界に広がる人生の選択の数々にひどく恐れを感じてしまう

船に乗った人の数だけ彼は何通りもの人生を読み取り、記憶していたからこそ
タラップの先、あと数歩まで迫る世界に、足を踏み入れられなかったのかな

「人生ってこういうものだよね」って受け流す術がわからないし、
最終的に何事も運命だと受け入れられる自信もないような


ずっと壁にかけていた絵が落ちる日の話
「ある朝起きて恋人がもう自分を愛していないことを悟る日、新聞を開いて戦争が始まったことを知る日、ふと走る電車を見てここを出ようと決める日、鏡に映る自分を見て老いに気づく日...」
それは来てほしくない日?
その日はいつかは来るとわかっていても、まだまだ先だろう、望んでも望まなくても来る、来てしまうのだけど、もしかしたら来ないかもしれない、そんな日?
いざ来ると、最初から来ることが決まっていた気がしてくるし、なにかとなにかが示し合わせていたような気すらしてくる
このシーンたまに思い返すだろうな
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