健一

ヤクザと家族 The Familyの健一のレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
5〜6年前。夜勤でホテルに勤務していた時、近くの歩道で 多くの警察官に取り囲まれ 大声を張り上げて抵抗しているヤクザを見ました。
その風景を私同様 数歩離れて眺めている二人の警察官がいた。
恐らく ひとりは新人。もう一人はベテラン。
新人らしき警察官が言う。
👮‍♂️『なんかヤクザ映画のワンシーンみたいですね。未だにこんなタイプのヤクザ居るんですね?』
ベテラン警官が答える。
👮‍♀️『ヤクザはもう 恐竜 と同じだ。甦るのは映画の中だけだよ。』
👮‍♂️『では アイツは?』
👮‍♀️『昨日 仁義なき戦い でも観てなんか燃えあがったんだろうな』
この会話をすぐ後ろで聞いていて 失笑してしまったし なんか切なくもなった。
しばらくしたら・・・
なんか悲しくなってきた。
なんでだ?私ヤクザじゃないのに。
『最新の技術を駆使して恐竜が現代に甦る!』
そんな思いで「ジュラシックパーク」シリーズを観てきたが、昨今 ヤクザ映画も同じような感覚で観るようになってしまっている。無意識に。

なんとも哀愁漂う悲しい作品😭。
少年時代、絶頂期、引退後 とヤクザの道を選んだ男の 3つの時代を激しく 静かに 哀しく描いたヒューマンドラマ。
滅びゆく種族 だと頭では分かっていても離れられない男達。何故なら周りの人たちは自分を育ててくれた『家族』だから。
なんとも切ない『ヤクザ』というより『男』の物語だった。

特別驚くようなエピソードはない。
殺って 殺られて 後悔して 苦悩して。今まで幾度となく描かれてきた任侠映画と変わらない。
ただこの作品が凄いのは 現代の生きずらいヤクザの日常を描いていること。
一番恐ろしかったのは 更生し真面目に働き出したのに 元ヤクザ ということがSNSで拡散され家族の生活が崩壊していくシーン。
NETの力はヤクザなんかより全然恐ろしい物になっているのだ。
21世紀になり テロ 震災 コロナ SNS。ヤクザより恐ろしいものが世の中には沢山出現してきて 人々はヤクザなんかを怖がっている場合ではないのです。

時代の移り変わり というものをヤクザという題材を用いてとても上手く演出されている本作。
この作品の監督がまだ34歳だという若さにまず驚く。凄い才能。
今後の活躍にも期待したいです。

もし アンディ・ガルシアを主演にして 設定を現代にして「ゴッドファーザーPART Ⅳ」が作られるとしたら この作品のようになるのでしょうかね?

滅びゆくヤクザたち。
ところで マフィア たちは今どうしているのでしょう?


2021年 2月1日 8:35〜
TOHOシネマズ池袋screen 8
💺119席
客入り 私を含め20人。

えっ! もう2月!
健一

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