〖1940年代映画：人間ドラマ：東宝〗
1940年製作で、父と娘の二人暮らしの家庭を描いた人間ドラマ⁉️

2023年1,957本目

• #2023年鑑賞
• #1940年製作
• #人間ドラマ
• #東宝
• #高峰秀子

前年「まごころ」で少女思春期映画の良作を撮った成瀬巳喜男が脚本、譲った形の弟子山本薩夫監督作品初期の秀作。学も無く浪花節好きの風呂屋を営む父藤原釜足と、ハイカラ好き女学校四年生高峰秀子の温かい親娘愛が微笑ましい日常の日々に、突然マスク男丸山定夫が現れる。従兄伊東薫に藤原と丸山が口論していると知らされた高峰は、17年前を知る寿司屋の叔父清川荘司から丸山が実父で実母は藤原の妹と告げられた。内情を知った高峰は、大阪に帰る丸山と再会するが、やはり父は藤原だと認識を新たにした。白眉のシーンはふんだんにあり、高峰と藤原が銀座に出掛けて洒落た洋食屋で食事をするが、藤原は隠れて和食を食べ、高峰好みの洋画には居眠り、おでん屋の座敷で浪花節を唸る藤原と女将を窓越しで覗く高峰、ガラ空きの風呂で浪花節を唸る清川、高峰の酒屋の自転車配達など、戦後の山本に無い愉快さと遊び心。

父親が性的存在であることを否定されるというめずらしい（？）パターン。成瀬が脚本を書いたものを山本薩夫に譲って作品だけど、ヒロインの名前が「秀子」になってるからデコに当て書きしたのかな？