ぺた

Swallow/スワロウのぺたのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
4.2
資金にも恵まれ、一見仲睦まじく愛し合っている夫婦に見えるが、その生活の中で妻の尊厳は様々なところで踏みにじられる。ビー玉を飲み込むところから始まったこの異常行動にはすでに名前がついていて、異食症と言うらしい。
たくさんの言葉と思いを飲み込み続けてついに異物を口にするようになるハンターの姿を私は異常とは思えなかった。そりゃ狂っちゃうよね。

ハリボテのしあわせの中で生きるまるで透明な妻のハンター。部屋もプールも服装も冷めざめとした水色。映像も色味も綺麗で完璧な牢屋だなとおもった。鳥籠だったのかもしれない。どうか自由であって欲しいと思いながらみた。

旦那が上の空で聞き取らなかったことで二度発したI feel so luckyという台詞の和訳に幸せという言葉を充てている。そんな細かなところにこの夫婦の関係が見えた。
朝が好きになったという台詞があった、映画の前半で朝をつらく思う気持ちになった過去はなんだったのか考えていた。ずっと飲み込んでたんだなつらいな。

モーテルのベッドで土を咀嚼してるシーンが好き。それを吐き出したシーンも印象的。その後の展開も相まって今まで異物を飲み込んできた行為の転機に見える。

パニック発作に苦しむハンターがベッドの下で看護師のルアイにここは安全だと言われ落ち着くシーン、あまりにも優しくて苦しくて思わず泣いてしまった。彼が鳥籠を開けてくれて本当に良かった。
自分の幸せは自分自身で、と言われた気がする。
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