ところが、ついに人民が選び取った社会主義政権には、かのアメリカのニクソン政権の横槍が入る。金融封鎖。物価の高騰。アジェンデが生活必需品の価格据え置き措置をとれば、物資は闇市に流れ、人々の手にとどかなくなる。混迷化が進む。それが軍事クーデーターへと結びつく。しかし、モレッティはそこで CIA の暗躍などの話は持ち出さない。ただ淡々とインタビューを重ねてゆく。
なんと強烈なメッセージ。ときに映画が公開された2018年は、マッテオ・サルヴィーニが率いる「同盟 Lega 」が歴史的な勝利をおさめ、サルヴィーニはジュゼッペ・コンテ政権の副首相兼内務大臣に就任。その姿を見たモレッティは「自分がなぜこの映画を撮ったのか、サルヴィーニの大臣就任ではっきりわかった」と述べる。