山浦国見

中支那鉄道 建設の記録の山浦国見のレビュー・感想・評価

中支那鉄道 建設の記録(1937年製作の映画)
3.5
何故この戦前プロパガンダ映像がアマプラに所蔵されているのだろう。

あまりリストアされていないので画像はチカチカする。飛ぶ。字幕は読みづらい。しかし、思ったよりは綺麗。

冒頭の「海行かば」から、泥濘の中の敷設作業、動く支那鐵道の車両など、貴重な映像のオンパレードである。

昭和十二年だから、ここで働いている方々は、殆どが明治生まれ。爺さん婆さんは慶応生まれ、大正始め生まれが若者。昭和生まれは二年生まれでも9歳そこそこだから、まだ洟垂れ小僧だ。

今や慶応生まれは地球上に存在せず、明治生まれも殆どいない。大正10年生まれが100歳を迎える。昭和と言う62年と二週間の時代は、確かに激動の時代だった。私は十数年しか体験していないが、それでも変化は感じた。

人力での線路切り替え、鶴嘴を使っての作業、急行で歓喜する人々、右から左に読む看板、天秤担いで走る人の姿や、🍱弁当の手売り🍱。今ではあまり見られなくなった姿。

飽くまで記録映画なので、ストーリーは存在しないが、かなりカット割りは拘って緩急付けられており、カメラワークも凝っているので、映画として観ると退屈だが、映像資料としてなら面白い。

一見の価値はあり。
山浦国見

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