イチロヲ

私が食べたフランス人のイチロヲのレビュー・感想・評価

私が食べたフランス人(1971年製作の映画)
4.0
ブラジルの領土紛争から脱したフランス人青年が、争いに巻き込まれている原住民族と遭遇する。16世紀のブラジル情勢を舞台背景にしている、不条理コメディ。

ポルトガルとフランスの入植者たちが、異なる原住民族と同盟を結ぶことにより、紛争を引き起こしていた時代の物語。同盟民族に捕らえられたフランス人青年が、敵対相手のポルトガル人と取り違えられて、どうのこうのというドラマ展開。

裸族の生活様式を虚飾なしに収めているため、全編がトライバル感覚に満ち溢れている(音声はアフレコだが)。フランス人青年が裸族に同化していく過程と原住民族の心持ちを推量させるスタイルが、大きな醍醐味となっている。

一応のところ、原住民族のカニバリズム文化が描かれるが、見世物的なグロテスク描写は登場しない。あくまでも、"白人が持ち込んだ争い"を根底にした、不条理劇を説いていくドラマ作品であり、戦争がなくならない理由を考えさせられる。
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