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木靴の樹のTSのレビュー・感想・評価

木靴の樹(1978年製作の映画)
3.0
【静かなる農民の生活の記録】70点
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監督:エルマンノ・オルミ
製作国:イタリア
ジャンル:ドラマ
収録時間:187分
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長い。長すぎる。『タイタニック』並の長さで、農民の生活を淡々と見せられます。パルムドールも受賞しているので、折り紙付きの名作でして、最近でもリバイバル上映していたものですが、はっきり言いますが「面白さ」は皆無。面白さを求めて見ると完全にやられます。なので、今作には面白さを求めてはいけず、19世紀末の農民の生活を「眺める」ように見るのが一番だと思います。

イタリアのネオレアリズモの作品であります。ネオレアリズモに関しては『無防備都市』の記事等で簡単に言及したので割愛しますが、今作も当時の様子をしっかりと描いた作品のようです。監督はよりリアルさを出すために、キャストに俳優をまだ用いずに、素人の人達を用いたそうな。その方がよりリアルさが伝わるからです。
終始暗い映画で、淡々としてます。正直「眺める」映画なので、何か作業をしながら見ても大丈夫なものと思われます。よし見るぞ!と気合を入れてみる感じの映画てない気がします。一応一部と二部に分かれてますが、タイトルにもなっている木靴が登場するのは二部からであり、一部は完全に作品のイメージをつかむだけのものとなっています。

非常に長いので眠たいときに見るのはご法度です。大きな事件もほぼなく進んでいくので、最後はどうなるのか?と気になってしまいます。と、思っていたら急展開で訪れるラスト。あまりにも儚い。でも、農民の生活って、貧しいが楽しそうなものとも捉えれました。貧しくても家族と元気で過ごせるならば幸福なのだ。というメッセージが伝わってきました。

面白さでいうと0点に近いですが、それ以上のものが今作にあります。19世紀末の農民の生活を「動く絵画」のように眺めた感覚でした。映画鑑賞というより絵画鑑賞という方がしっくりくるかもしれません。リバイバル上映は終了してますので、一部の店舗にひっそりと置かれています。興味のある方は是非。
TS

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