うなぎ

花束みたいな恋をしたのうなぎのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
4.5
結婚式からの展開すごく良かった。
別れるという決意ありきで、互いに腹を割ってフラットに話せるあの感じ。まさに、夫婦みたいだなあって思ったけど、それじゃダメだったんだよね、ずっと恋人でいつづけるなんてこと本当にできるのかな。私にはこんな大恋愛のような経験がないからわからないけど。

コンテンツ全部見東大生こと大島育宙さんの解説がすごく腑に落ちた。ワンオクを「聞けます」、とか言っちゃうの、めちゃくちゃ痛い!でもその気持ち超わかる!!となる。結局、オタクやサブカルという肩書きのようなものがほしい、という部分がふたりの共通点だった。特に夢中になるコンテンツがあるわけじゃなくて、広く浅く知っていたいし、そういう自分が好き。他の烏合の衆とはひと味違う俺たち/私たち、みたいな意識がふたりを強く結びつけていた。ミイラ展でデートする俺ら、夜景にあんま感動しない私たち、ショーシャンクのような定番を好むことを素直に受け入れられないふたり。そういう視点で見れば見るほど、どこか大衆性を見下して必死に自分をサブカルの枠に収めようとしている滑稽さを示すシーンがたくさんある。…なんて、ひねくれた見方しすぎでしょうか。。

これまで社会を遠ざけることで連帯を感じていたふたりは、麦くんが社会に飛び込んでいく過程でズレが生じたのかな。就活を目前に控えた私はすごくすごく恐怖を感じました。前田裕二とかのビジネス書より村上春樹を何度も読み返したい。社会、怖い。
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