片山幹生

バンリューの兄弟の片山幹生のレビュー・感想・評価

バンリューの兄弟(2019年製作の映画)
4.0
フランスの大都市の外側に広がるバンリュー(郊外)の貧困と荒廃は、フランスの植民地主義とそれに起因する民族・宗教差別とも深く結びついている。パリの中央の華やかさから疎外され、警察など国家権力との緊張関係のものと、非合法の経済と暴力支配のなかで生き抜かねばならないバンリューの住民たちの厳しさを伝える作品だった。やっかいな、憂鬱な問題ではあるが、フランスがこの問題を見て見ぬ振りしていない、いや見て見ぬ振りはできない事態であることを認識していることは、この地域を主題とした誠実な映画作品がフランスで次々と作られていることからわかる。