しちれゆ

辰巳のしちれゆのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
4.0
8年の時を経て小路絋史監督がアップデートして戻ってきた。
ある時は南米の麻薬組織(サボテンでも出てきそう)、ある時はチャイニーズ・マフィア、そして全編 韓国ノワールを彷彿とさせる。日本にこんなところあるの?というようなロケ地。地元横浜の伊勢佐木町が出てきたような気がする。
辰巳がヤクザが殺した死体の処理を生業としているのが 今 世間を賑わせている栃木県那須町の殺人死体遺棄事件を連想させてとてもタイムリー。辰巳が葵の話に耳を傾ける時の表情がワルとは思えなくて、生意気な葵がどんなに突っ張っていても女ゆえ姉の死体1つ持ち上げられなくて1人では復讐なんか出来っこないその非力さをほっておけない辰巳の優しさが沁みる。この2人の間に恋愛感情をくっつけなかったのも良き。
あとヤクザ役で出てきた後藤剛範が『成れの果て』でヘアメイクアーティスト役だった人でその時はあまりに似合わなすぎて「何故にこの人?」な感じだったのが今回はドンピシャにハマり役だった。
藤原季節が特別出演的に出ているのも楽しめる。
小路絋史監督はもっと認知されてよい監督だと思う。
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