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戦争と女の顔のgyaro311のレビュー・感想・評価

戦争と女の顔(2019年製作の映画)
4.3
背景にある戦争の甚大な被害と悲惨さを、あまり理解せずに見た結果、2人の女性の倒錯した愛情と、子供という存在を巡る物語という印象を強く受けました。
ストーリー展開は序盤、置いていかれそうだと感じる場面もありつつ、ぎりぎりついていけるペース。シーンの展開と結末はことごとく想定外で、新たなシーンがくる度に不安な気持ちになりますが、それが心理の倒錯を際立たせていました。
意外な所で強い笑顔、意外な所で悲劇や怒りがありました。
映像は美しく、フェルメールの絵画のような色彩と光を感じます。特に鮮やかな緑は、北の黒い大地では、平和や発展、そして生の象徴なのでしょう。
ロシアとウクライナの制作陣による戦争の後遺症を描いた映画で、反戦の感想を呼び起こすことは間違いないですし、その意義は強いと思います。
ですが、個人的には女性の深淵さ、女性の感性の複雑さを、極限的なシチュエーションで描いた傑作かと感じました。
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