賽の河原

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の賽の河原のレビュー・感想・評価

2.0
鬼滅キッズなので公開日にキメてきました。
来場者特典が未だかつて見たことないくらいな豪華さで、金を儲けようという意欲をしっかり感じましたよ。こんなご時世ですから、しこたま稼いでもらいたいすね。#最高
原作は未見、アニメのみ鑑賞民ですけど、根本的にこの作品は合わないんでしょうね。やっぱりよく分からなかったですね。
公開初日なので周りの熱量も高い中で見たんですけど、盛り上がりどころでは劇場すすり泣きもきこえてね。正直テレビシリーズのときは「よく分かんねえなあ」って思いながらぶつ切りで見てた分ね、劇場という拘束を受けて観るのは興味深かったですね。
映画自体はわりも綺麗に三幕構成でね。それぞれのパートごとに盛り上がりどころが入ってるんですけど、やっぱりどうしたって盛り上がりに欠けるっていうかね。
もう無限列車に乗り込んでから、アタマおかしい仲間たち中心にキッズ向けの笑えないコメディが続いてね。一通り「くだらねぇなぁ...。」って思いながら観ててさ。テレビで「つまんな」って思ってたんですけど、劇場でもほとんどウケてないのは驚きましたね...。
一幕目の焦点は、「主人公たちが鬼に夢を見せられる」って展開ですよね。
炭治郎が「故郷の家族が生きてたら」みたいな幸せそうなビジョンを見せられる、でもそれを断ち切って現実を生きるっていう話なんですよね。
「夢や幻想に耽溺する囚われる人間」っていうモチーフが大好きマンなので、この展開は本当に好きなんですけど、とにかく夢のビジョンが大して幸せそうに見えないっていうかね。現実の厳しさがこの時点で緩いのも相まって、とにかく葛藤として今一つなんですよね。
『鬼滅の刃』って復讐の物語じゃないじゃないですか。だからおそらく家族の描きこみもせずに、里に下りて「戻ってきてたら死んでた」みたいなトーンに意図的にしてるんだろうけど、私には推進力がすごく弱い物語に見えちゃうし、こういう風に「幸せなビジョン」で家族とか見せられても、ピンとこないですよね。
結核がどうのとかっていう取ってつけたようなパンピーモブとか「幸せな夢を見せてもらうために鬼に協力」ってくだりも描きこむわけでもなく入ってる記号的な書き割りですよね。中途半端だなぁっていう。各々の夢の中の深層心理の描写もさぁ、まぁいいや。
二幕目は鬼との戦闘ですよね。これは声を大にして言いますけど、この鬼、「相手に夢を見せる」っていう凝った特殊能力持ってるわけですよね。この設定は絶対面白くなりますよ。さすが
クリストファー・ノーランが脚本書いてるだけのことありますよ。夢の中と現実が入り混じるすげえビジョンのアクションを見せてもらえると思うわけですよ。
ところが驚くのはね、この映画、クリストファー・ノーランが脚本書いてないから、「起きて戦う」だけっていうね。なんなら「寝てもすぐ起きて戦う」っていうw さすがに設定に意味がなさすぎて笑いましたよね。というか、鬼さんサイドも列車の中で眠らせた時点で殺しに行けよっていうw もっというと列車と鬼とで分かれて戦うから映画ならではの勢揃い感も弱くて「なんでこの話を映画にしようと思ったの?」感が出てきますよね。
三幕目、ひどい損害が出ましてね。劇場みんな悲しんでましたけど、いやぁ、その損害になんか感情移入できるほどそいつのこと知らねえよっていうね。泣かしにいろんなバックストーリー入れたりもするんだけど、とにかく説明に次ぐ説明。ラストのラストでも「そこで解答のセリフいる?」っていうね。大変最高でしたね。
イキリヲタクは文句言いがちですけど、社会現象なので観に行くのがオススメです。
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