原田太喜

ファースト・カウの原田太喜のレビュー・感想・評価

ファースト・カウ(2019年製作の映画)
3.4
 本来は『PERFECT DAYS』を鑑賞予定だったのだが、完売していたためこちらを鑑賞。

 全編を通してかなり抑制された作品で、展開はスローリーで派手な展開やアクションはなく、最低限のセリフ、聞こえるのは自然音とわずかなBGMだけ。また暗すぎるシーンも多く、何が起こっているのかわかりにくい場面も多かった。

 ただ面白くないかと言われるとそうではなく、ピンチを救われたことから始まる中国人男性と白人男性のやり取りが微笑ましく(やってることは犯罪だが)二人の無事を祈らずにはいられなかった。
 あと当時の生活感をリアルに表現している服装や小道具、ロケーションは見事。そっと二人を見守るようなカメラワークも印象的。
 終わり方は呆気にとられたが、不思議な余韻を残してくれる映画だった。
原田太喜

原田太喜