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わたしの叔父さんの42のネタバレレビュー・内容・結末

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

糸が複雑に絡み合っている感じ……
親でも祖父でもなく全くの他人でもない、叔父さん。その微妙な距離感が微笑ましくもあり、すれ違ってしまう原因でもある気がした。

二人とも優しい。相手のことを考えている。
だけど天邪鬼というか不器用。話し合うことが難しい。でも話し合うことが正しいとも限らない。私は話し合う方法しか知らないけれど、二人は二人の空気感があって阿吽の呼吸でやり取りをするのが二人のやり方なのかもしれない。

マイク、あからさまに気まずそうな顔するなよ。大切な人の大切な人を蔑ろにしているように感じて、それが恋人になる人としてありえないかもなって思った。好きな人のことを思っての行動だったとしても。

それにしても周りも不親切だよ。
デンマークの福祉事情が分からないから何とも言えないけど、知ってる情報を伝えて選択肢を広げるとか知らないなら一緒に調べてみるとか、一緒に話聞きに行こうかって促してみるとかそういうことを誰もしない。いや、まずクリスがどうしたいのか、叔父さんがどうしたい/どうしてほしいのか、誰か聞いてよ。みんなチョンって触れるくらいで何の力にもならない。

クリスの心の境界線が濃くて誰も彼女のパーソナルスペースに入っていけないって問題もあると思うし、誰にも相談しようとせずに自分一人でどうにかしようとしているのは間違っているとは思うけど、その彼女の性格を考慮しても、周りの人不親切だなって思っちゃう。彼女がそうなったであろう背景を知っておいて「かわいそうだ」という言葉一つで済ませようとしないで。

この映画観てると些細なことで涙が出る。変わっていくことは必要で、良いこともあるって分かってるけど、その過程を観るのは胸が苦しくて顔を歪めてしまう。
どういう終わり方でもしっくりこないかもしれない。スパッとした幕閉じ。いろんなことが想像できる終わり方。というかあそこで終わられたら自分で想像するしかない。二人にとって良い方向に事が運ぶといいなあと思う。
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