ドント

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのドントのレビュー・感想・評価

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 2023年。どうかしてますよ!! 高度AI「エンティティ(実在者の意)」が自我を持ち、情報操作による世界制覇を目論みはじめた。超高度の知能を支配下に置けるのは、ある装置を開ける2分割された「鍵」を手中に収めた者だけ。「鍵」を狙う大国、闇の商人、AIの配下たちの思惑が交錯する中、イーサンたちはAIを破壊せんと祖国に背を向けミッションを開始する。
 というあらすじは見終わってから自分でまとめた代物である。本編を観ている間は「えっと、この鍵の片方は今こいつが持って、あっ偽物? えっとじゃあこっちが持ってて? えっ爆弾? 今? こやつにも雇い主? あっ、うん。なぞなぞ?」と何がなんやらわからんかった。今もわかっていない部分が多い。
 要は「AIの暴走を止める」ってぇ話がなぜこんなにこんがらがるのか? それはいち観客である私にはわからない。いま現実の世界が、本作のような混迷のただ中であることを示したいのかもしれない。違うかもしれない。それはそれとしてトム・クルーズは走り、飛び、つかまり、乗ったり避けたり悲しんだりする。いろいろ起きる。大変である。
 ハリウッド的な脚本術に異を唱えるつもりはないし、イージーな同意もしない。しかしこの映画はなんかちょっとブン回しすぎじゃなかろうか? と思う。それはさておきトム・クルーズが走り、飛び、つかまり、乗ったり避けたりする様子に、我々はよくわからないなりにいちいち興奮する。
 トムが悲しめば悲しむし、トムが「いや無理だろ!?」と叫ぶと「やれよ」「やるんだろ?」「最後はやるんだろ?」と考える。そしてトムはやってしまうので、拍手喝采してしまうのである。つまり、スターということなのだ。結局。しかしトム走りやトム無茶はあったものの、これ!という肉弾戦がなかったのはちと寂しい。スターは戦ってこそ、と私は思っている。
『トップガン マーヴェリック』はハリウッドアクション大作の最終回みたいな映画であった。そこから「もうちっとだけ続くんじゃ」みたいな顔して、トム(と、共犯者たる監督のマッカリー)がもっかいやって見せている。冷静に考えるとやっぱよくわかんねぇし、シーンごとの連なりが断絶していて、折り目正しいハリウッド大作としては崩壊しているので、とどのつまりはやっぱりどうかしている。たぶんパート2もどうかしているのだろう。
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